日銀と組んで大儲け! 大手銀行最高収益のカラクリ
──大手銀行が最高益を出しているという記事を読みました。あんまり大きく報じられていないので気がつきにくいのですが。
儲かっている話はあんまり言いたくないからでしょうね。この間ある人に急にお礼を言われたから、「何のことですか?」って聞いたら、植田和男さんが日銀総裁になった時に私が「植田さんは国民経済よりどちらかと言うと金融機関に軸足を置いた政策をとりますよ」と講演で話したのを聞いてピンときて、銀行株をたくさん買ったんだそうです。
おかげで儲かりましたって感謝された。なんと答えたらいいのやら。
この5大銀行の2023年4〜9月期の実質業務純益というのを見ると、三菱UFJが7625億円で46%の増益。すごいよね。三井住友は4138億円、みずほ3524億円、りそな943億円、三井住友トラスト1521億円。合計で1兆7754億円。16%の増益です。
これはもうすべて金融政策の結果ですよ。植田さんはいまも金融緩和していますよとしきりに言いつつ、長期金利のタガを少し緩めたから、ちょっと金利は上がっている。設備投資をしようとすればすぐわかるけれど、銀行からの借り入れの長期固定の金利は少しずつ上がっている。そのぶんが収益増になっているんですよ。
金利が100倍になったとか言ったって、0.002%が0.2%になっただけだから、預金金利は全然上がっていないのと一緒でしょ。預金金利というのは短期の金利なんだけど、これはほとんど動かない。だけど長期固定の設備投資資金が上がっているから、そういうところが反映しているのですね。植田日銀が庶民より銀行のほうに軸足を置いた金融政策を行った結果で、私の予想は正しかったことになります。
本来なら預金金利も一緒にちょっと上げておくか、むしろ全然動かさなければどうということはないのだけれど、こういう銀行が儲かるようなオペレーションをしたということですね。岸田政権がボロボロだから、植田日銀がその仮面を脱いで銀行擁護者の正体をどんどん露わにしてきた気がしますね。