30年もかかった株価最高値で大騒ぎする方がおかしい

──日経平均株価がバブル期以来の3万5000円回復。株価が絶好調なんですが。

バブル期以来って、これ30年ぶりぐらいの話でしょ。それをすごいって言うより、30年間ずっとそれ以下だったほうがおかしいんだよ。

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──30年前にやっと戻ったということですか。

ひどい話だよ。30年間何も進歩がなかったということだから。喜ぶような話じゃない。この間の世界では、普通の政策をとっていれば株価は上がったんだから、日本が普通じゃなかったということですよ。

どうしてこんなひどいことになったかという話で言わせてもらうと、アメリカでいろんな国から集まってきた人たちとバブルの研究をしたことがあるんだけれど、日本の場合、明らかなのは、バブルは間違っていたからその後は引き締めをするのが正しいと思い込んだ。それが最大の失敗だった。

バブルなんて別に大した話じゃない。いろいろな国でいくらでもあったことだよ。日本のバブル期の経済パフォーマンスを見ると、失業率が低くて、インフレ率も2.9か3%くらいだったから全然悪くない。なぜこれくらいで引き締めるんですかといろんな国の人に聞かれてね、「いや、ちょっととち狂って、バブルは悪いとみんな思い込んじゃったんじゃないですか」としか答えようがなかったよ。

だから日本のバブルなんて世界的に見れば大したことはなかった。それなのに財政政策、金融政策ともに引き締めを猛烈にやりすぎてしまったのが失敗だった。

それで「財政状況もそんなに悪くないし、金融だって別に引き締めることはないのだから」というのでやったのがアベノミクスなんだよ。アベノミクスをやっている限り株価は上がると私は思っていた。現に上がったんだけれど、その後に民主党が決めていた消費増税がガツンときて、強烈パンチを食らった。

いくらかでもダメージを減らそうとして、安倍さんが実施時期を少しずらしたけれど、二度目の増税がある。たまらないよね。戦艦大和が魚雷を2発食らったようなものだからね、本当にヘトヘトになったけれど、なんとか持ちこたえて、これで大丈夫かなと思っていたら、今度はコロナ禍。魚雷を3発も食らってよく沈まなかったと思うよ。

でも、いまは何もないから普通にやっていれば株価は上がるんです。適切な政策を続ければもっと上がると私は見ています。