愛猫は子どもではなく、むしろ恋人だと思っている 

──猫は2匹飼ってらっしゃるんですよね?

今は3匹います。

──にぎやかですね。猫と稲垣さんの関係性は、子どもと父親という感覚?

いや、なんかそれがすごく抵抗があって。ペットショップにメスの子猫を迎えに行ったときに、店員さんが「ほら、パパが来たよー」って言ったんです。その瞬間「いや、パパじゃないし」って思っちゃって。

僕としては同志や一緒に暮らしているパートナー、むしろメスに対しては恋人ぐらいに思っていたから、ちょっとショックを受けちゃって(笑)。なんか違和感があったんですよ。

でも、オスに対してふと親目線になっている自分がいたように、「パパ」と呼ばれるのもわからなくないなと、最近は思いはじめているところです。

稲垣吾郎「子どもがいたら、めちゃめちゃかわいいんだろうな」遺伝子を残すことにこだわりなく生きてきたけれど今は…_3

──猫との生活は、想定外の出来事も多い気がしますが。

全然思い通りにならなくていいんです。ワンちゃんはよくしつけをしたりするけど、厳しめに言うことを聞かせようとする人を見ると、もういいじゃんって思っちゃう(笑)。そこが親っぽくないのかもしれない。猫なんか言うことをきくわけがないしね。

彼らも僕のことをペットだと思っているかもしれないし、同じ空間に住んでいるだけの存在だと思っているかもしれない。コントロールできないことが心地よくておもしろいから、僕は猫を飼っているんだと思います。

取材・文/松山梢 
撮影/石田壮一 
ヘアメイク/金田順子 
スタイリスト/黒澤彰乃

ドラマ10『燕は戻ってこない』(全10回)

派遣社員として暮らすリキ(石橋静河)は、職場の同僚から「卵子提供」をして金を稼ごうと誘われる。アメリカの生殖医療エージェントで面談を受けると、そこで持ちかけられたのは「卵子提供」ではなく「代理出産」だった。元バレエダンサーの草桶基(稲垣吾郎)とその妻、悠子(内田有紀)は、高額の謝礼と引き換えに二人の子供を産んでくれる「代理母」を探していた……。桐野夏生の同名小説を映像化。

【放送予定】
2024年4月30日(火)~7月2日(火)
総合 毎週火曜 よる10:00~10:45
BSP4K毎週火曜 午後6:15~7:00
[再放送] 総合 毎週金曜 午前0:35~1:20 ※木曜深夜

【出演】
石橋静河 稲垣吾郎  森崎ウィン 伊藤万理華 朴璐美 
富田靖子 戸次重幸 中村優子 内田有紀 黒木瞳 ほか

〈文庫版〉燕は戻ってこない
桐野夏生
〈文庫版〉燕は戻ってこない
1100円(税込)
文庫判
ISBN: 978-4-08-744625-8
この身体こそ、文明の最後の利器。 29歳、女性、独身、地方出身、非正規労働者。 子宮・自由・尊厳を赤の他人に差し出し、東京で「代理母」となった彼女に、失うものなどあるはずがなかった――。 北海道での介護職を辞し、憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、非正規雇用ゆえに困窮を極める29歳女性・リキ。
 
「いい副収入になる」と同僚のテルに卵子提供を勧められ、ためらいながらもアメリカの生殖医療専門クリニック「プランテ」の日本支部に赴くと、国内では認められていない〈代理母出産〉を持ち掛けられ……。 『OUT』から25年、女性たちの困窮と憤怒を捉えつづける作家による、予言的ディストピア。
 
頁の隙間から聞こえてくる、今の世界を保持するための骨組の軋み。 こういう小説と出会うことでしか、私達は私達の不都合な部分を見つめられない。 ――朝井リョウ(作家)
 
女であること、産む性であることは、なんて悲しいのだろう。 ラストを読み、思わず溢れた涙の理由を、私は今も考えつづけている。 ――小島慶子(エッセイスト)
 
新技術と経済・ジェンダー格差が交差するとき、恩恵を受けるのは男性だ。 被害をこうむるマイノリティの苦しみを、マジョリティの私がどこまで想像できるかを突きつけられ、たじろいだ。 ――斎藤幸平(経済思想家)
 
読んでいる間、ずっと殴られるような感覚に襲われていた。 それは自分を含む大勢の人が、今この瞬間も世界に殴られ続けているのだという、気付きであり目覚めでもある、大切な痛みだった。 ――村田沙耶香(作家)
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