ビール会社特有の習慣打破のために追求した「バリュー」
人口減少が進む地域では、相対的に1人当たりのビールの飲酒量は減っていいくため、従前の評価基準ではマッチしないのだ。
「私は『ボリューム』ではなく、『バリュー』を追求しようとよく話しています。例えば、たくさん量を売ろうと思えば、安くしたほうがいいわけです。一方で高いものを売ろうと思えば、そこには創意工夫が必要になります。プライシングや売り方、マーケティングなどを試行錯誤し、数字を作りにいかなければなりません。
このように、社員の目線を利益志向に変えていったのも、オリオンビールの売り上げ向上に寄与した要因になっていますね」
しかし、社員の士気を高め、目標必達させるためには、新製品や新サービスを投入するだけでなく、成功させなければならない。「とにかく成功にこだわった」そう語る村野氏は、時間と労力をかけてどんなことに取り組んできたのだろうか。
「2022年10月に発売した『オリオン ザ・プレミアム』は社員がゼロから作り上げたプレミアムビールで、理想の酵母と出会うまでに沖縄本島の花や草木から3000以上の酵母を採集しました。『世界に誇れる沖縄を、もうひとつつくろう』という思いから、沖縄出身の音楽アーティスト・Awichさんや沖縄県民の方にCMを出演してもらい、沖縄の魅力を詰め込んだ形でプロモーションしたのです。その結果、オリオンビール史上最高の出荷数を記録し、成功を収めることができました」
製品が売れると、会社の流れが変わってくる。社員の努力が実れば、それが自信につながる。まさに好循環を作れたのが、オリオンビールの増収増益につながったのではないだろうか。