中国からの販売者
一方で、2003年からは自前でのEC展開が難しい事業者でも、アマゾンのプラットフォームから商品を販売できるマーケットプレイスを開設、さらに品揃えの幅を広げていきました。
現在、マーケットプレイスの出品者のうち3分の1が中国からの販売者(セラー)で、積極的に出品を増やしており、2019年に4億アイテム、2020年には5億アイテムを超えました。
アマゾンジャパンでは2015年頃から、中国のセラーからのマーケットプレイスへの出品に注力。FCを成田空港の近くに設け、航空便で成田に入ったものを効率よく出荷できる体制を整えました。
中国のセラーの商品は雑貨や小物が多いこともあり、ベリー便(belly:腹部)と呼ばれる、旅客機の底のスペースを用いた貨物便を利用し、輸送コストの抑制も進めています。
トラック便の場合には、荷物を届けた後の空荷の便をチャーターしてコストを抑えることもしていますが、アマゾンの場合、そもそも物量が多いこともあり、同様のことを旅客機で実践しているわけです。
自社で物流に対応できない企業に対して、アマゾンの物流を提供するサービスもあります。
「フルフィルメントバイアマゾン(FBA)」で、あらかじめアマゾンが指定する物流センターに商品を納品しておくと、注文に従って、アマゾン側がピッキング、梱包、出荷までやってくれます。梱包資材の共通化により、使用する資材の量を抑制できるのです。
FBAを利用すると、他社のECサイトからの注文にも対応できるということもあり、販売意欲の旺盛な中国のセラーからの利用が増えているようです。
エネルギーコスト、人件費の高騰などもあり、2023年4月からFBAに関する手数料(配送代行、在庫保管など)が値上げされました。
図/書籍『アマゾン、ヨドバシ、アスクル…… 最先端の物流戦略』より
写真/shutterstock