漁業のサスティナビリティ
実現のためにできること
――いまの時期、オススメの魚はありますか?
今年はアジがいい感じに穫れている気がしますね。オススメは体高があって、小顔のコ。アジって大衆魚だと思われていますけど、本当においしいアジに出会うと、イメージが変わると思いますよ。あとは旬でいえば、サワラかな。サワラはカツオと同じく旬が2回ある魚なのですが、春ザワラもおいしい。脂が乗って、あぶりの刺し身にすると最高なんです。
――「旬」も魚の魅力のひとつですよね。
そう、お魚のおもしろみって“旬”なんです。季節によっておいしい魚が異なりますし、食を通じて季節を感じられるのもポイントです。
――今後、魚の魅力をより広く発信するために描いている展望を教えてください。
若い人、特に子どもに魚を楽しんでほしいので、海がない県の幼稚園や小学校で解体ショーをやっていきたいですね。あとは最近、水産資源管理に興味があるんです。ノルウェー、アラスカといった漁業の進んだ国や地域では、TAC(漁獲可能量)を州ごと、漁船ごとといった細かい区画で分け、お魚を貴重な資源として計画的に運用している。
その結果、安定して魚が手に入り、漁師さんの生活も豊かになる。ノルウェーでは現に、子どものなりたい職業ナンバーワンが漁師さんなんですよ。
私も父がつくった会社を次世代に残したいし、水産大国の人間として、未来の子どもたちにもおいしい魚を口にしてほしい。そのために、「漁業先進国の取り組みを学びたい!」とYouTubeで発信し続けていたら、昨年「アラスカシーフード協会」からスペシャルアンバサダーに任命していただきました。
今後も、より多くの人にお魚や漁業の魅力を発信していきたいので、この記事を読んでぜひ、町の魚屋さんに足を運んでくれる人が増えたらうれしいです。
取材・文/結城紫雄
写真/松木宏祐