会社に問い合わせると
加納社長はボサボサ頭で股引きに肌着姿で、覇気のない声で「ああ、どうも」と荷物を受け取ったという。
「今思えば、そのときの様子がうつろな表情というか、何かやばい感じはありました。コロナの不正受給をしていた時期だったんですかね。
もう返納したとニュースで見ましたが、ということはコロナで客足が落ちて危機感に煽られてとりあえず受給してプールしてたんでしょうか。いずれにせよ返納できたならよかったです。引っ越してきたときも、引っ越されて出て行くときも、奥さんや子供さんとで挨拶に来られましたよ」
登記簿謄本によれば加納社長一家は昨年4月に港区内の集合住宅に転居しているが、ここでは同じ階の住人ともまったく付き合いがなく、1週間ほど前に引越し業者が来て、またどこかに転居していったという。
不正受給の経緯をあらためて加納コーポレーション広報に問い合わせると、以下の回答があった。
「東京労働局による当社の公表内容としては、『一部の従業員について、事業主都合の休業ではなく単に勤務予定がないに過ぎない日を休業としたもの』との記載がございましたが、当社は、事業主都合の休業であると考えて、雇用調整助成金の受給を進めてまいりました。
もっとも、このような判断が出たことについては真摯に受け止めており、従って雇用調整助成金約49億円全額に加え、違約金及び延滞金についても返還しております。(助成金の使い道は)従業員に対する給与や休業手当等、雇用・経営維持のための支払いをしておりました。同様の事態が二度と起こらないよう、社内の管理体制及びガバナンスの強化に努めてまいります」
老舗の五代目は、雇調金不正受給がもたらす“後遺症”に、今後も苦しみそうだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班