ミャンマー国軍の「本質」がむき出しになったクーデター
2021年2月1日、ミャンマー国軍によるクーデターが起こった。同日未明に国家顧問のアウンサンスーチーをはじめとする与党NLDの幹部政治家たちが国軍によって一斉逮捕された。
前年11月に行われた総選挙においてNLDが476議席中396議席を獲得し、国軍系政党USDPは大敗を喫していた。選挙は国際機関による監視下で公正に行われていたが、国軍は不正があったと主張し、この暴挙に出たのであった。
そしてあらゆる権力がミャンマー軍の最高司令官であるミン・アウン・フラインの下に統合されることになった。
以降、すべての権力を掌握した国軍政権に盾突く者は拘束され、反軍政デモは暴力によって徹底的に弾圧された。ミャンマー国内は内戦状態に陥り、現在もそれは続いている。
クーデターの一報が世界中に発信された同年2月1日の明け方、一本の電話が台湾の首都・台北から舘林のアウンティンに入った。コールしたのは、日本台湾交流協会台北事務所の泉裕泰所長。泉は言った。
「ミャンマーの市民には本当に気の毒な状態に陥った。しかし、あなたたちロヒンギャにとってはこれひとつのチャンスでもある。この機会は大事だと思う」
クーデターによってミャンマー国軍の本質がむき出しになった。ロヒンギャが受けて来た迫害がいかに理不尽で許されざるものであったのか、いまだに「ロヒンギャはベンガルからの違法移民」というデマを信じて国籍を奪う弾圧に加担する人々に、理解を迫る機会であると泉は説いた。