現在の賭博の旬は「春のセンバツ」
昭和の任侠映画に登場する博打なら、サイコロか札に細工されていたりするが、バカラで行われるイカサマは手法が違うようだ。
「周囲にいる仲間がさまざまな合図を送るんだ。ネクタイを触ったらプレイヤー、カジノの台に手をつけたらバンカー、台の上に指を揃えて手を置けばプレイヤー、指を広げて手を置けばバンカーなど、その種類はたくさんある」(W氏)
見破られないために合図を何度も変えるらしい。
「もちろんディーラーは出したいカードが出せるし、ルーレットでは自分が入れたいところにボールを入れられる。それができなければプロのディーラーではない。半時計回りでゆっくり回る回転盤のスピードと、時計回りで回るボールのスピードを計算し、7~8割は入れたいところにボールを入れる」
その数が出るのは決して偶然ではない。だから客たちは最初のうちは勝っても、後に勝ち分は回収され、最終的に負けてしまうのだ。負けた客には金を貸しつけ、回収する。金がなくて破産してしまう客もいるが、水原氏は大谷選手の金に手をつけた。
前出の指定暴力団幹部Y氏は「今、暴力団では野球賭博が旬」とにこやかだ。MLBかプロ野球が賭けの対象かといえばそうではない。春の選抜高校野球だ。
「春の甲子園が開催中だからね。MLBより高校野球だよ。大がかりにはやらないが、仲間内で賭けている。携帯電話やスマホでオッズを送ると賭博の証拠が残るから、今もそれは紙で渡す。なのに返事は携帯メールかSNSで寄こすんだから、笑っちゃうよ」
水原氏が野球賭博には関わっていないと話しているのが、唯一の救いか。
取材・文/島田拓
集英社オンライン編集部ニュース班