スターリン建築の代表格・旧ウクライナホテル
2023年1月1日(日)。外を見ると雪ではなく雨が降っているようなのだ。気温も3℃。これはかなりあったかい。午前7時に勇んで朝食会場に行くと、今日は元旦なので朝8時開店だと言われる。テレビをつけるが、この部屋のテレビが壊れていて、肝心のチャンネル1(ロシア公共放送第1チャンネル)が映らないのだった。
ネットで日本のテレビ朝日のニュースサイトで、プーチン大統領がきのうテレビに登場してロシア国民向けのメッセージを放映したことを知る。ほんまかいな。誰もそんなものを見ているとは思えなかった。軍人たちに囲まれての演出だったらしい。
タクシーを頼んで、午前11時すぎに赤の広場に行くと、そこそこの人がすでに訪れているではないか。タクシードライバーはタジキスタン人だった。日本からのツーリストだと言うと、たいそう驚いて「トヨタのカムリは最高の車だ」とか話してきた。
この国ではいまだに日本の代表的なイメージは、トヨタ、ソニー、カシオ、パナソニックなのだ。旧ウクライナホテルに行ってみる。このスターリン建築の代表格は、かつて目にしない日がなかった。このすぐ近くに僕は住んでいて、かつTBSモスクワ支局もこのすぐそばにある。
数々の思い出が刷り込まれた建物だ。ホテルを見ていてもほとんど人の出入りが確認できなかった。モスクワ河を挟んだ対岸にはロシア最高会議ビルがある。通称ベールイドーム(ホワイトハウス)。ここに1993年、エリツィンが戦車から砲弾を撃ち込んだ。建物の上半分が焼け焦げて無惨な姿をさらしたものだった。
今のロシア最高会議ビルは、プーチン大統領の御用機関のような機能しか果たしていない。そんな場所を訪れていたら、美しい女性が1人で観光をしていた。「新年おめでとう」と声をかけると、彼女はウラジオストクからやって来たツーリストだという。大の日本ファンで、YouTubeでしょっちゅう日本のことを検索しているという。
モスクワは大きすぎるとか言っていた。キエフ駅もずいぶん様変わりしていた。昔僕がモスクワに暮らしていた頃は、この駅にホームレスの人々や少年らがたむろしていたものだ。近くの大型ショッピングモールにユニクロのロゴサインがみえた。