ロシア大統領選まで目立つ動きを控えていた
表向き北朝鮮は、今月4~14日に米韓が行なった大規模合同軍事演習「フリーダムシールド」の期間中に弾道ミサイル発射など報復的な軍事デモンストレーションを行なわなかったが、18日には口径600ミリの超大型ロケット砲を6発同時発射する訓練を、19日には新型の中・長距離極超音速ミサイルに用いる固体燃料エンジンの地上噴出試験をそれぞれ実施し、いずれも金正恩氏が立ち会ったと北朝鮮メディアは報じた。
「18日の超大型ロケット砲は平壌付近から発射されて北東方向へ約350キロ飛び、日本の排他的経済水域(EEZ)の外側の北朝鮮沿岸部に落ちました。日本政府は抗議しましたが、北朝鮮にとっては日本の領海近くに落としたわけでもなく、日本を威嚇するつもりはなかったでしょう」と北朝鮮ウォッチャーはみる。
「北朝鮮は近年、米韓演習の期間中に対抗した形で発射することを避けるケースが時折見られます。無意味な緊張激化を避け、攻撃能力の向上のための実験や訓練に集中しているようです。
今回18日から発射を再開したのは、中国の全国人民代表大会(全人代)の終了(3月11日)やロシア大統領選の大勢判明(18日)に関連しています。この期間は目立つ動きを控え、これらが過ぎたので核戦力開発の動きを“通常運転”に戻した可能性があります」(同上)
北朝鮮が日本との対話を探る意志を本当に持っているなら、日本代表が平壌から帰国するまでは、中ロに対するものと同等の“配慮”を見せて軍事行動を控えるとの見方もある。試合の行方とともに北朝鮮の動きも要注意だ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班