戦争の悲惨さを逆説として攻撃的に表現するハードコアパンク反戦歌3曲

『Holiday in Cambodia』The Dead Kennedys

1970年代後半から1980年代を中心に活動し、風刺やアイロニーに富む反体制的ハードコアパンクを奏でたアメリカ・カリフォルニアのバンド、デッド・ケネディーズ。代表曲として知られるこちらは、1979年に発表されたファーストアルバム「Fresh Fruit for Rotting Vegetables」(邦題「暗殺」)に収録されている。ポル・ポト率いる共産主義勢力クメール・ルージュが支配するカンボジアを皮肉った内容。

『Let's Start A War』The Exploited

1979年に元軍人のボーカリスト、ワッティーを中心に結成された、スコットランド出身のハードコアパンクバンド・エクスプロイテッド。初期ハードコアパンクの中でも際立って無骨、暴力的ですらある演奏スタイルで、この曲をはじめ、ときに好戦的とも思えるメッセージを発するが、戦争の悲惨さや恐ろしさを逆説的に表現しているととらえられる。

『Doomsday』Discharge

1977年にイギリスで結成されたハードコアパンクの嚆矢的存在、ディスチャージ。初期から反戦、反核、反暴力、反国家主義、反体制を標榜し、ひたすら激しく速いリズムで叩き出されるそのレパートリーの多くが反戦歌である。ファーストアルバム「Hear Nothing See Nothing Say Nothing」収録のこの曲は、戦争の挙句の終末をテーマにした、暗く重い内容。

別格のバリー・マクガイアと忌野清志郎のスピリットが息づく3曲

『Eve Of Destruction』Barry McGuire

日本でも音楽の教科書に載るほど有名になった『Green,Green』(これも反戦歌)を1963年にヒットさせたアメリカのフォークグループ、ニュー・クリスティ・ミンストレルズのリードボーカル、バリー・マクガイアによる1965年発表のソロ曲。開戦から10年を経過しても一向に収まる気配を見せないベトナム戦争を憂いて作った反戦歌で、世界的なヒットとなった。

『明日なき世界』RCサクセション

前出のバリー・マクガイア『Eve Of Destruction』は数多のミュージシャンにカバーされ、日本では『明日なき世界』というタイトルで1969年にフォークシンガーの高石友也が、1988年にはRCサクセションがカバーした。強すぎるメッセージ性を危惧して発売中止とされたことが逆に大きな話題を呼んだカバーアルバム、「COVERS」に収録されている。

『奇妙な世界』忌野清志郎

1991年にRCサクセションの活動を休止し、その後はソロ活動に勤しんでいた清志郎が2003年に発表したソロ17thアルバム「KING」に収録。2001年の9.11同時多発テロを発端とするアメリカvsタリバンのアフガニスタン紛争を背景に、テレビに映る“奇妙な世界”と身の回りの平穏な日常の対比を、ギタリスト、三宅伸治とのデュエットで静かに歌い上げる。