履歴書や健康保険証、不動産登記…ブロックチェーンの活用範囲は広い

——ブロックチェーンは今後、どのようなシーンで役に立つと考えていますか?

ブロックチェーンは今後、かなり幅広く活用されるのでは、と期待されています。

まずは先ほどもご紹介した、データベースへの活用です。ブロックチェーンを活用したデータベースは、修正の履歴が残るため改ざんがしにくい構造です。だから履歴を残しておきたいデータは、ブロックチェーン技術を活用したほうがよいでしょう。

例えば、履歴書や不動産登記、役所で登録される住民基本台帳など、役に立つシーンは無数に思い浮かびます。

まれに学歴・職歴の詐称が問題になることがありますが、仮に学校や会社が、生徒や従業員の卒業年次や入社年次、退職データなどにブロックチェーンを活用したデータベースに記録しておけば、本人によるデータの改ざんが難しくなります。

こうしたデータを改ざんする人はまずいないと思いますが、学校側や会社側が個人に対して悪意を持って改ざんを試みた場合も同じことがいえます。

もし改ざんしたら、「本人が改ざんしました」「学校側の〇〇さんが追記・修正しました」という記録がブロックチェーンに残りますので、今までよりもデータの信頼性がアップします。

病院の診察券も、ブロックチェーンを活用できたら便利に利用できるはずです。現在は病院を受診するたびに、同じような内容の問診票を書きますよね。

でも、もし本人が記述したことがブロックチェーンに記録されれば、データとして信頼できます。また、他者から改ざんされていないことが証明できるのならば、その問診票データを本人のスマホからあらゆる病院に送信し、スムーズに受診できるようになるでしょう。

——これ以外に、ブロックチェーンの利用が期待される分野はありますか?

ブロックチェーン技術を基盤として成立しているのが、ビットコインなどの暗号資産です。ブロックチェーン、そして暗号資産の登場によって、グローバルでお金の送金をしやすくなった点は大きなインパクトだったと思います。この文脈で、シームレスな送金方法として活用される可能性はあるでしょう。

従来の銀行システムから海外送金する場合、1週間から3週間ほどかかってしまいます。ですが、仮想通貨を活用すれば早くて1時間ほど、長くても1〜2日で送金が完了します。今後はさらに便利な送金方法が生まれるかもしれません。