アイドルのセカンドキャリア問題
まずアイドル活動で承認欲求が満たされた体験が忘れらず、舞い戻るケース。特にSNSが幼い頃からあるZ世代はそれまでの世代に比べ、他人に認められたい意識が強いと言われており、明言はせずともこれが理由であるアイドルは多い。
また、アイドルは続けたいものの、以前のグループや所属事務所とソリが合わずに卒業したため、リベンジで別のアイドルグループに入るケース。フリーランスの作曲家なども増え楽曲制作のコストが下がったこともあり、アイドルの参入障壁は以前よりもグッと低くなっている。その分、安易にアイドルグループを作る事務所も増えており、そうした事務所に当たって陽の目を見れなかったアイドルが「次こそは」と別のグループでアイドルを続けていく。
ライブを行えば即、現金収入になるアイドルは、芸能事務所としてもビジネスにしやすく、女優志望で事務所に入るもアイドルになることを勧められ、結局アイドルとして再始動するパターンもある。
このようにアイドルはかつてのような通過点ではなく、それ単体でビジネスとして成り立つようになり、結果としてアイドルはなかなか卒業しなくなった。
アイドルを応援するファンにとってはうれしい一方、アイドルの卒業が延びることには弊害もある。10代の頃からアイドルしかやってこなかったことで、25歳くらいで卒業し一般企業に勤めようと思ってもスキルが足りずに就職できない、といったアイドルのセカンドキャリア問題である。最近ではアイドルのセカンドキャリア支援を手がける企業も増えているが、早期解決の道はまだまだ遠い。
いい意味でも悪い意味でも「アイドルはやめられない」わけだが、いつか来る“旅立ちの日に”備え、アイドル自身も次のステージを早くから考える必要がある。
文/徳重龍徳