元タレントのため、目の敵にされたことも

「なんで60代の俺が、10歳も20歳も年下の刑務官を『先生』なんて呼ばなきゃいけないんだって、ずっと疑問に思ってたんだよ! 人生についてどうこう教わるわけでもないのにさ。だから、『先生』が『担当さん』や『職員さん』に変わることは賛成だね」

そもそも、田代は服役中、元タレントで目立つこともあり、刑務官から理不尽なことでよく怒られていたそうだ。

「ある朝、刑務所から作業場へ向かう行進で前の人につられて列からズレちゃったら、俺だけ名指しで『おい、お前! 列から外れてひとりで行進しろ!』って言われてさ。雪の中、20分間もひとりで行進させられたことがありましたね」

またある日、ダルク(薬物依存症のリハビリ施設)の担当スタッフとの手紙のやりとりについてもお叱りを受けたという。

「定期的に開催される受刑者同士の綱引き大会について、『お縄になった僕たちが綱を引くってどうなんでしょう』と冗談を書いたら、刑務官が『刑務所にいるのにこんなふざけた文章を書くとはどういうつもりだ!』って。

ダルクの方が『いつもの田代さんが戻ってきましたね』って返事をくれてるのにさ。そのことを言うと『口答えするな! お前はこんな規律さえ守れないから事件を起こすんだ』ですよ……」

また、刑務所の謎ルールに首を傾げることも多かった。

「俺、老眼になっちゃってるからメガネがないと全然見えないんですよ。だから、このうっすらブルーの偏光レンズが入った老眼鏡を使ってたんだけど、3度目の収監先である福島刑務所の刑務官は『サングラスだから許可できない』って言うんです。

福島刑務所に移る前に入ってた宮城刑務所は大丈夫だったのに『ここでは色の入ったレンズは許可できない』の一点張り。

妻に代わりのメガネを持ってきてもらうまで何も見えなかった。メガネすら貸してもくれないのに、重要な書類を渡されて『読め!』っていうから、『読めない』と答えると『顔を近づければいいだろ!』って。あのねえ、老眼は目を離さないと見えないんだよ……そんな説明する気も失せましたが」