1972年「週刊少年ジャンプ」でデビュー。
50年の画業を、300点に及ぶ原画とコメンタリーで綴る集大成展示
2022年に画業50周年を迎えた村上もとか先生。
デビューは1972年の「週刊少年ジャンプ」に掲載された『燃えて走れ!』。伝説のレーサー・浮谷東次郎の人生を描いた意欲作で、当時のジャンプ巻末コメントでは、主人公の生家に伺って取材したことも明かされている。
当時の少年漫画は「スポーツ」「レース」「バトル」ものが中心。村上先生も数年間は「タイヤもの」「スポーツもの」を執筆していたが、このころからその内容にはヒューマンドラマ寄りの志向がうかがえる。
時代が進み、主な活動の場を青年誌に移してから、その高いドラマ性が本領を発揮する。なかでも2000年から連載された『JIN—仁—』が誕生したきっかけは、江戸時代の遊女たちに焦点を当てた本を読み、彼女たちの平均寿命の短さに<悔しい想い>を抱いたのがきっかけだと語っている。
「江戸時代に行って救ってあげたい」―――まるで作中の南方仁そのもののようなまなざしが、村上作品全体を慈愛で包みこんでいる。だからこそ、読むとかならず「明日もがんばろう」という気持ちがわいてくるのだ。