今や熱中症による死者数は、自然災害の10倍ほどに

星教授の論文によると、熱中症による死者は1972年から1993年の間は、年平均で60人ほどだった。

だが、2010年に初めて死者数が年間1000人を超えると(1731人)、2018年~2020年までの3年間は毎年1000人オーバーに。このように熱中症の死者数は驚くほど増えているのだ。

死者だけではない。特に猛暑だった2018年には熱中症の疑いで、病院などで診療を受けた人が60万人近くもいたという。病院に行かなかった人はこの何倍もいたと考えられるので、実際には何百万人もの人が熱中症になっていたと推定できる。

天気予報では、熱中症の危険度を色と数字で表している。これは「熱中症警戒アラート」と呼ばれるもので、暑さ指数(WBGT)を元に発表。昨年から全国で運用が始まったばかりだ。

暑さ指数は①湿度②日射・輻射などの周辺の熱環境③気温の3つを取り入れた指標で、環境省の「熱中症予防情報サイト」に記載されている下記の表によれば、31以上が「危険」、28~31が「厳重警戒」、25~28が「警戒」、25未満が「注意」となる。この表は見やすく分かりやすいのだが、「注意」の色が、涼しそうな水色というのはちょっと変では、と感じるのは私だけだろうか。

年間死者数1000人超! もはや日本の猛暑は“自然災害”だ

ただし、気温が同じでも、湿度が高いと蒸し暑く感じるし、屋外で運動や仕事を行う場合は、日射量も影響する。気温はあくまで目安でしかなく、それよりも熱中症情報を敏感にチェックしておくことが、命と健康を守る秘訣といえる。そのうえで長く暑い場所にいないこと、涼しい場所で休憩すること、こまめに水分補給をすることを心がけたい。