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受賞のからくり

池田は、その生涯において、400を超える名誉学術称号や各種の表彰や賞を受けてきた。創価学会の組織は、これをもって池田の平和思想家としての活動や実績が世界的に評価され、その偉大さが証明されたかのような扱いをしてきた。

しかし、なぜ名誉学術称号や勲章が授与されたのかを調べていくと、そこには一種の「からくり」があるのがわかる。それぞれの授与の背景には、創価大学や民音(民主音楽協会)、あるいは東京富士美術館といった創価学会系の機関の活動がかかわっていた。

故・池田大作が人生をかけて演じ続けたカリスマ像「400を超える名誉学術称号や各種の表彰」には”池田のためだけに創設された賞という説”も?_1
東京・新宿にある創価文化センター
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それぞれの機関が、先方の国や地域、大学で活動を展開した結果、機関の代表である池田が称号や勲章を授かったのであって、決して池田個人の活動や実績が評価されたわけではないことが少なくない。

こうした機関はどれも池田が創立者となっており、その活動は広い意味では池田の実績にカウントされるのかもしれない。だが、池田の平和思想家としての個人的な活動がどの場合も評価されたというわけではなかった。

一つ例をあげよう。

1991年、池田はタイの国家から王冠勲章勲1等を授与された。池田は1961年以来何度もタイを訪れ、両国の友好に寄与していたという。それでも、具体的な実績となると、創価大学がタイの2つの大学と学術交流協定を結んだり、民音がタイの伝統的な芸能集団を招聘したりといったもので、やはり創価学会系の機関があげたものだった。

なかでも東京富士美術館では、タイの国王が写真を趣味にしていることから、その写真展を開催している。写真展はロサンジェルスやロンドン近郊でも開催されたようだが、ここまでくると、実績作りに、つまりは池田が勲章を授与される道筋をつけるために、涙ぐましい努力がなされていたようにも思えてしまう。

先に、池田が「タゴール平和賞」や「アルバート・アインシュタイン平和賞」を受賞していることに言及した。タゴールやアインシュタインの名前からは、いずれも由緒ある賞であるかのような印象を受ける。

けれども、どちらの賞の場合にも、池田以外にこの賞を受賞した人間は見当たらない。2つの賞は、池田のためだけに創設された可能性さえある。少なくとも、アメリカのシカゴにあるアルバート・アインシュタイン平和賞基金によるアルバート・アインシュタイン平和賞は、世界平和国際教育者協会のアルバート・アインシュタイン平和賞とは別物である。

名誉学術称号の場合、それを授与してもらうために、もっとも活用されたのが、創価大学による海外の大学との学術交流協定の調印だった。創価大学は251の大学と協定を結んでおり(2023年10月現在)、そのうちの多くから、池田は名誉学術称号を授与されている。

しかも、協定を結んではいても、交換留学の制度を実施していないことも多い。これでは、名誉学術称号のためだけに協定を結んでいると批判されてもしかたがない。