漁師料理で舌鼓

海辺の自転車旅の大きな魅力は、漁港の近くで楽しめる地魚料理。

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漁港は立入禁止の場合もあるので注意が必要。くれぐれも漁師さんのじゃまにならないよう景色を楽しみたい

鯵で有名な相浜漁港にある食堂で、遅めの昼食をとることに。お目当ては、漁師が営む「相浜亭」の新鮮な魚料理だ。

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名物のアジフライや刺し身のほか、地磯で採れたヒジキなど海産物の小鉢が嬉しい

刺身定食や海鮮丼なども人気のようだが、名物のアジフライ定食(1500円)をいただく。大ぶりでフワリとした味わいは、海沿いの旅をより充実したものにしてくれた。

巨匠画家にも愛された漁師町を探訪

相浜漁港のお隣、布良(めら)漁港は『海の幸』(アーティゾン美術館所蔵)で知られる、明治期の洋画家・青木繁が制作のため逗留した名画ゆかりの地だ。

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青木繁が下宿し創作に打ち込んだという「小谷家住宅」

布良の海を見下ろす丘の上にある「小谷家住宅」は、「青木繁『海の幸』記念館」として一般公開されている。取材時は残念ながら臨時休館中で入ることはできなかったが、曲がりくねった細い坂道越しの海を画家も見ていたのかと想像するのは楽しい経験だった。

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小谷家住宅からさらに数百メートル進むと、布良海岸(阿由戸の浜)を望む高台にある「青木繁記念碑」にたどり着く。今回の自転車旅はここが折り返し地点。館山駅からの距離は約23kmで、写真を撮ったり食事休憩をしたりしながら走って所要時間は3時間ほどだった。

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帰りの列車は17時09分に館山駅を発車。くれぐれも乗り遅れのないように早めに駅周辺まで戻り、駅売店でお土産などを選びながら発車時刻を待つのがおすすめだ

館山駅への帰路は、山道を行くショートコースもあったが、夕暮れの太平洋を楽しもうと往路と同じ海沿いでのんびりとペダルを踏んだ。

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専用ゲートからホームに入場しラックに愛車を載せれば、あとは列車に揺られながら車窓から房総の海の景色をゆったりと眺めるだけ。南房総にはキャンプ場や第二次大戦中の戦時遺構など、アクティビティや見どころも多い。歩くより遠くへ、車よりのんびりと景色を楽しめる自転車旅なら、きめ細かにその魅力を体験できそうだ。

(撮影/杉山元洋)