実は科学的根拠の信頼度が低い
140/90という基準値

その一方で日本人間ドック学会は、2014年に「新たな健診の基本検査の基準範囲」で、健康な男女グループの血圧上限値を、最高血圧で147、最低血圧で94としました。このため「高血圧の基準がゆるくなった」と報道されたりもしたものですが、これに対して日本高血圧学会は「科学的根拠の信頼度が低い」と強く反論したのです。

しかし、やみくもに血圧を下げることが必ずしも健康をもたらすわけではない、という科学的根拠が出てきていることもあってか、同じく2014年に日本高血圧学会は、若年・中年層の降圧目標を130/85未満から140/90に引き上げています。また後期高齢者に関しても、降圧目標を150/90と引き上げました。

それでもまだまだ厳しすぎる目標値です。さらに困ったことに、このように目標値が引き上げられた後も、多くの医者は相変わらずそれまでの数値を採用していて、140を超えたら「はい、高血圧です」と降圧剤を処方しているのです。

ですからもし血圧が高くなってきたとしても、「医者が高血圧と言ったから」と素直に従って薬を飲むのではなく、運動を取り入れたり生活習慣の改善を図ったりして、まずは自分で血圧を下げる努力をしてほしいと思うのです。薬を飲むのは、それでも下がらなかったときで遅くはありませんから。

最高血圧が「年齢+90」以下なら正常だったとされていた60年代。実は科学的根拠の信頼度が低い現代の基準値「140/90」にこだわる危険性_2

下の血圧が高いと動脈硬化になりやすい?

「上の血圧は120台で正常なんだけど、下が90を超えていて高いんだよね」などといった話を耳にしたことはありませんか?医療業界とはあの手この手で私たちを脅してくるもので、最高血圧が正常なら、今度は「最低血圧が高いから危ないですよ」と薬を飲ませようとします。ですがお伝えしておきたいのは、最低血圧だけを下げる薬はないということ。降圧剤を飲めば当然、正常である最高血圧も下げてしまうことになるので、非常に危険なのです。

よく、最低血圧が高いのは末梢の血管の流れが悪くなっているからだと言われます。でも私はそれよりも、血圧計の使い方が間違っている場合がほとんどだと感じています。血圧計には正しい使い方の説明書はついていますが、字が小さくてわかりにくく、多くの人はきちんと読まないもの。

そのため腕をきつく締めすぎたり、腕の高さが心臓と同じ高さになかったりして、測るたびに違う数値が出るのです。「下の血圧が高いから」と病院に行く前に、一度説明書を読み直して、正確な測定をしてみてください。