⑤ 余計な洋服は買わない
過去の買い物を振り返ってみて、僕自身が一番「あれは見栄消費だったな……」と後悔するのが「洋服」への出費です。
俳優という仕事柄、僕は日頃から華やかな世界の方とご一緒する機会が多いです。その影響もあったのでしょうが、なんとかおしゃれになりたいと思って、当時流行していたセレクトショップで、年間200万円近く出費していました。ですが、あるとき、懇意にしていた女性のひとりに衝撃的な一言を言われます。
「なんかいつも洋服がダサいよね。もうちょっとかっこいい服を着たら?」
そのときに気がついたのです。僕には、センスがないのだ……と。しかし、この出来事はある意味、ラッキーだったかもしれないと今では思います。
ちょうどそのころ、僕の稼ぎが減ってきたこともあって、ブランドの服を購入することはきっぱりやめようと決意しました。さらに決めたのが「どうせセンスがないなら着るものは真っ黒なベーシックな服だけにしよう」というルールです。
僕の個人的な意見ではありますが、黒い服は一見地味に見えますが、どんなアイテムを身に着けていても、洋服の値段がわかりづらく、シンプルに時間の無駄が省けるというメリットがあります。スティーブ・ジョブズがイッセイミヤケのハイネックセーターを着続けていたのと同じように、着る服を黒だけに統一して、自分の洋服をユニフォーム化してしまおうと考えたのです。
黒以外の服は全部捨て、それ以来、洋服を買い足すにしても、ユニクロや無印良品など手頃な値段のアイテムのみにしました。着飾ることを放棄したことにより、服に費やすお金や時間が大幅に削減できるようになりました。
「洋服でしか自分を表現できない」というくらいの気概があれば、そういう消費もいいかもしれませんが、この本を手に取ってお金を効率的に増やしたい方にはぜひ「洋服に費やさなかったことでお金が増える」という実感と満足を一度味わってもらいたいと思います。
そうすると僕のように、服に費やすお金がとんでもなく無駄に思えてくるかもしれません。
節約術⑥~⑩へ続く