④ 「幸福感を感じる使い方はどっちか」を考える

お金を使うときのひとつの基準として、ぜひ覚えておいてほしいのが「自分が幸福感を長く感じられるお金の使い方」です。

経済学者のロバート・フランクによると、人が幸福を感じる要素は大きく分けると二つあります。ひとつが「地位財」。もうひとつは「非地位財」と呼ばれます。

地位財は車や家、所得や貯蓄額など、他人との比較によって満足感が得られるものです。一方の非地位財は他人と比べなくても幸福感を感じられる、健康や愛、自主性、良質な環境などを指します。地位財は非地位財に比べると、手に入れても幸福感が長続きしないといわれています。

たしかによい車を購入しても、そのときはうれしくても次第に慣れていくと幸福感は薄れ、「さらにいい車に乗りたい」と次の欲望が生まれてきます。でも、非地位財の場合は、他人との優劣を考える必要がないので、一度手に入れたら、大切にメンテナンスしていけば、ずっと所有することで幸せを感じることができます。

「体調を崩さない丈夫な身体のためにジムに通うコスト」や「大切なパートナーを喜ばせるための旅行」「なんでも話し合える友人との会食」「自分の夢を実現するための教育投資」などがこれに当たります。

何かにお金を払うときに「あの人よりもいいものを買おう」「雑誌に載っていたあれを買おう」「誰かにほめられるようなものを買おう」という視点で選んだものは地位財に当たります。

お金を使うときには、「この出費は自分の幸福度を長続きさせるものなのか」をじっくり考えることで、より満足度の高いお金の使い方ができるはずです。