婚姻形態と政治が結びつき、その結果、日本の歴史が変わった
「招婿婚」から「嫁取婚」への婚姻形態の移行は、政治にも大きな影響を与えます。
すでにご説明したように、招婿婚の時代に行われた摂関政治は、天皇の母方の祖父が権力を握る形態でした。繰り返しになりますが、招婿婚は女性側が主導権を持つ婚姻スタイルです。
まさに天皇の母方の家族、すなわち外戚が主導権を持つ摂関政治は、招婿婚の中で母方の政治発言力が高まった末に生まれたものだったのでしょう。
しかし、家族形態が直系家族へと変化し、婚姻制度が招婿婚から嫁取婚へと変化し、母方の存在感が弱まるうちに、摂関政治も力を失っていったのでしょう。もっとも、これは卵が先か、鶏が先かという理論と同じく、婚姻形態が変わったから政治構造が変わったのか、はたまた政治権力の構造が変わったから婚姻形態も変化したのか、その因果関係はわかりません。
しかし、婚姻形態と政治が結びつき、その結果、日本の歴史が変わったことには間違いないでしょう。
女性が主導権を持つ招婿婚から男性が主導権を持つ嫁取婚へと婚姻形態が変わりつつあった頃、天皇の母方の祖父が権力を握る摂関政治から、天皇の父方の祖父や父などの尊属が権力を持つ院政へと移り変わっていきました。