母親を反面教師にすることに、こだわりすぎている
現在時任さんは、看護師の仕事を続けながら、4歳と1歳の男児を育てている。
「自分が子どもの頃は、母や教団の大人に合わせた退屈な空間で過ごすことが多かったので、できるだけ子どもの遊びに付き合ったり、『近所にお友だちを作ってあげよう』と思って私もママ友を作ったり、子どもが好きそうな場所に出かけたりして、『子どもの時間を大切にしてあげたい』と考えて育児をしています。
母のことは反面教師としてかなり意識していて、母にはやってもらえなかった〝子ども中心〟の生活を送るように心がけています」
次の3月で奨学金の返済が終わり、自分たちが小学生の頃、毎日家に親がいなくて寂しい思いをしていた時任さんは、長男の小学校入学に合わせて現在勤めている病院を退職し、パートをするための準備をしている。
「先日、妹に『お姉ちゃんって、〝普通の家庭〟を求めてるよね?』と言われて、『そうかも……』と思いました。
私は子どもの頃、母から遊んでもらえなかったという記憶があまりにも強くて、『子どもには同じ思いをさせたくない』と思い、仕事よりも家事よりも、何よりも子どもを優先しています。それが妹には、違和感に感じたようです」
母親を反面教師にすることに、こだわりすぎているのかもしれない。
「確かに、少し前、いい食材を使って、ちょっと手間暇かけて料理することに夢中になっていた時期があるのですが、子どもに『遊ぼう』って言われても料理に没頭している自分にはっと気付いて、『やばいやばい、これでは母と一緒だ』と思ってやめました。
また別のときは、ある資格を取るために勉強を始めたのですが、やっぱり、『このままでは家庭をおろそかにしてしまう。家族を邪魔だと思ってしまう』と思ってやめました。
私が宗教に走る可能性はありませんが、私も母のように周りが見えなくなるほど没頭してしまうクセはあるのだと気付きましたね」