「痩せたね」は褒め言葉じゃなく、症状悪化のトリガー

――摂食障害って、治るものなのでしょうか。

遠野 絶対とは言いませんけど、この病気は一生治らないんじゃないかなと思ってます。

完治したと思っても、何かのきっかけでスイッチが入ってしまう人もいます。常に爆弾を抱えているようなもの。私も、恋愛など何か支えができたりするとぴたっと治まるときもあります。それでも、ストレスが溜まったりすると再発してしまうんです。

――どういうときに症状が悪化するんですか?

遠野 ストレスになることが起きたときとか、外見のこと言われたときですかね。「太ったね」も「痩せたね」も、どっちも刺激になってしまう。特に異性は、あいさつ代わりに言ったりするじゃないですか。相手は何とも思っていないひと言でも、私にはグサっと刺さって「あ、もう駄目だ」って。そうすると、ロケとかに行っても朝から晩までずーっと食べ続けてしまって、夜中にばーっと嘔吐してしまったり。

「痩せたね」っていうのも、褒め言葉だと思ったら大間違いだということはわかってほしいです。「もう太れないじゃん」って思っちゃうんですよね。

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――周囲に理解者は?

遠野
 私はこの仕事をしてるから、まだ楽なほうかもしれない。業界的に、摂食障害の子は多いでしょうしね。業界の人は理解がある方が多いです。だから、お衣装あわせの時とか、仕事で摂食障害だと話しておいたほうがいいかなと思った時は、私はわりと言うようにしてます。

業界以外のお友達や知り合いでも、「前より痩せたね」と言われても「摂食障害なんで」とすぐ言うようにしています。そうしたら、知識がなくても調べてくれますし。「教えてくれてありがとう」って言ってくれます。

そうしたら、次から言わないように気をつけてくれたり、食事でも「無理しないでいいよ」って言ってくれたり、少ししか食べなくても何もつっこまないでいてくれる。

――そうやって話していくのも大事なんですね。

遠野 大事です。ただ、それは相手が理解してくれるかどうかにもよりますよね。「何それ、吐いちゃう病気?」「そのわりには肌つやつやだね」と言われたこともあります。そういう理解のない人もいっぱいいると思うので、その覚悟をもって言えるかどうかですよね。