「新説桃太郎!の巻」(ジャンプ・コミックス第85巻収録)

今回は、両さんが『桃太郎』や『シンデレラ』といったおなじみのお話にツッコミを入れまくり、さらにはオレ流の昔話として大ヒットさせるお話をお届けする。

日頃は部長から説教やお小言を食らわせられることの多い両さんだが、実は口論にかけては相当に達者で、部長や周囲を論破して納得させてしまうことも多いのだ。

そもそも『こち亀』は、非常にセリフが多い作品だ。矢継ぎ早に繰り出されるギャグを上回るスピードと密度でセリフの応酬(もしくは押しつけ)が展開されて、ページがセリフで真っ黒……なんてことも珍しくない。

そんなシーンが楽しめるエピソードをいくつか挙げてみよう。

「他人のことなど考えず とにかく一番になればいいということが そんなに立派なことなんですかっ」
部長がウサギとカメの話を例に挙げて、両さんの享楽的な生活を戒めようとする。すると最終的に勝利した亀を「利己的で性格に難ありのヒールキャラ」とボロクソにけなしまくる! かくして両さんは部長に完全勝利!?
「カメ型人間!の巻」(ジャンプ・コミックス第18巻収録)

「カメ型人間!の巻」より
「カメ型人間!の巻」より

「自分で見て聞いて知って自分で判断してこそ 鋭い発想力 想像力を持った人間になれるのです」
趣味が人間性を育てるという持論を、おもちゃを例に挙げて展開。立て板に水の名調子を披露するが、もちろん言いくるめているだけだ……!
「柔硬ちょうだい!?の巻」(ジャンプ・コミックス第47巻収録)

「柔硬ちょうだい!?の巻」より。
「柔硬ちょうだい!?の巻」より。

勉強のできない両さんがここまで弁が立つのには驚きだ。だが舌先三寸で言葉を並べ立てて賢さを演出して世を渡るインフルエンサーやコンサルが大量に闊歩する昨今、発言の信憑性や発言者の賢さについては、冷静に見極める必要があるのは言うまでもない。

さて、『こち亀』には両さんをも論破する最強の論破王が存在する。それは中川だ。

両さんの性格を知り尽くしている中川は、正面から両さんに異を唱えるのではなく、両さんにとって身近な例を挙げ、自身で考えを巡らせるよう促し、結果的に自分で納得させる技の持ち主だ。これは、人の上に立つ者としては非常に大切な資質。

トップオフで人々を従わせるだけではなく、納得させて自発的に行動させることのできる中川は、帝王学の心得を持つ男なのだ。

「両津改造計画!?の巻」(ジャンプ・コミックス第152巻収録)より。車好きの両さんに、高級ファッションの値段の価値を納得させる!
「両津改造計画!?の巻」(ジャンプ・コミックス第152巻収録)より。車好きの両さんに、高級ファッションの値段の価値を納得させる!

それでは次のページから、両さんが世に放つオレ流昔話をお楽しみください!!