冷静な状態で見ればおじさんとわかるんですけど…

異変を察したクラブの従業員にトイレから出るよう促された「ともちゃん」は、「あっ、すいませーん」とおとなしく従ったという。

「その際も『女なのになんで?』とゴネたりはしないで、しおらしく引く感じでした。あとは酔っ払って床に座り込んでる女性に『大丈夫?』と声をかけたりするのですが、やはり何か危ないものを感じたので、私は友達じゃない子にも声をかけに行っていました。クラブだと薄暗いし、お酒が入ってると女性と見間違えてしまうんです。冷静な状態で見ればおじさんとわかるんですけど、相手が女性だと思うと、冷たくするわけにもいかず、つい話を聞いてしまうんです。

「ともちゃん」と名乗っていたAさん(知人提供)
「ともちゃん」と名乗っていたAさん(知人提供)

そうしてクラブを出るタイミングで『どこか行こうよ』『終電がないから朝までいないといけないの』と力強く腕を引っ張って、ラブホテル街の方に行こうとするのが『ともちゃん』の手口だったんです」

この女性の友人も、過去に「ともちゃん」にこうして腕を引っぱられてホテルに連れ込まれそうになった経験があったという。

「あくまで女性同士という感じで声をかけながら腕を引っぱるので、あまり世間慣れしてない子だと騙されてホテルまで行ってしまうこともあるかもしれません。実際は分かりませんが、今回の事件で逮捕された子もそうだったのかな、とも思ってしまいました。クラブでイベントを開く人たちも、女性料金で堂々と入場しようとする『ともちゃん』の扱いに頭を悩ませていました。ウィッグがズレてたり、つけまつげのつけ方がおかしかったり、やっぱり私が接してきたニューハーフの方とはどこか違うんですよね。亡くなった方の悪口を言うつもりはないんですけど、事件のことを知って、『ともちゃん』を女性と勘違いして被害に遭う人がいなくなることに対して、どこかホッとしている自分がいました」

田村一家が暮らしていた自宅(撮影/集英社オンライン)
田村一家が暮らしていた自宅(撮影/集英社オンライン)