台風の目となるコンビは…

今年の決勝戦には、いくつかの“初めて”が存在する。まず、同日に行われる敗者復活戦のフォーマットが大きく変更された。従来のフォーマットは、準決勝で敗れた全組が改めてネタを披露し、それに対して視聴者が投票。最多得票の組が復活するというものだった。

しかし今回は、準決勝で敗れた21組が7組ずつA、B、Cの3ブロックに分かれ、各ブロックでタイマン形式で勝者1組を決める(審査は会場の中からランダムで選ばれた500名の観客が行う)。そして各ブロックの勝者3組から、M-1決勝経験者である芸人審査員の投票によって“最強の1組”が選出される仕組みだ。

ともすると“人気投票”とも思われがちだった方式が変更され、より一層苛烈を極める戦いになるだろう。なお、例年屋外で行われていた敗者復活戦だが、今回は屋内で行われることになった(新宿住友ビル三角広場)。これも初のことである。

昨年、一昨年と2年連続で敗者復活戦を経験しているマユリカは初の決勝に臨む
昨年、一昨年と2年連続で敗者復活戦を経験しているマユリカは初の決勝に臨む
昨年の敗者復活戦を経験したヤーレンズ。一昨年まで5年連続準々決勝敗退など悔しい思いを重ねてきた注目コンビ…今大会の台風の目となるか
昨年の敗者復活戦を経験したヤーレンズ。一昨年まで5年連続準々決勝敗退など悔しい思いを重ねてきた注目コンビ…今大会の台風の目となるか

また、今年は昨年よりも決勝・初進出組が1組多い。さらに、決勝経験者の中でも最終決戦に進出したことのある組は、さや香だけだ。残り8組が初の“2本目”への挑戦となる。ここにも競技化の確立の影響を感じられる。参加者全体のレベルが跳ね上がったことで、準々決勝、準決勝に強豪がうごめいているわけだ。

2022年大会の決勝の審査員・山田邦子さんが話した「その日一番おもしろかった組を選びたい」という言葉が思い出される。当然のように全組がおもしろい。だからこそ“その日、その瞬間”にフォーカスが当たるのだ。なかでも、昨年の敗者復活戦を経験したヤーレンズに注目したい。一昨年まで5年連続準々決勝敗退など悔しい思いを重ねてきたコンビなだけに、今大会の台風の目となる可能性がある。

昨年は2度目の決勝進出で準優勝となったさや香。今大会も優勝候補と目される
昨年は2度目の決勝進出で準優勝となったさや香。今大会も優勝候補と目される

「M-1グランプリ2023」(ABCテレビ・テレビ朝日)の決勝戦は、12月24日(日)18時30分から放送される。また、敗者復活戦は同日15時から放送スタートだ。今年のクリスマスイブは、7時間ぶっとおしで笑いを堪能するM-1グランプリ一色の1日になるに違いない。

取材・文/関口大起  写真/M-1グランプリ事務局