「公園の足湯に血だらけの猫がいる」
5年前の冬、知人からの電話で、公園の足湯に血だらけの猫がいるという情報が入り、現場へ駆けつけ捕獲。その子が足湯さんです。
捕獲後、すぐに動物病院へ。車中、静かにしていた足湯さんでしたが、動物病院へ到着しケージを開けたとたん、看護師さんの肩に飛びつきました。危険を感じた私が猫を引き離そうしたところ、思いっきり指をかみつかれてしまいました。噛まれた痕をよく見ると、傷は親指を貫通していました……。
獣医さんは警戒心むき出しの猫に麻酔を注射し、眠った隙に診察。その結果、血だらけの原因はノミだと判明。治療を開始しました。とにかく警戒心が強く、お世話はとてつもなく大変でした。
通常、猫の保護後の選択肢は3通り――里親を探す、家族として迎え入れる、不妊手術後に元の場所へリリースする、があります。こう警戒心が強くては、リリースするしかない、と思いました。
でも、野良猫の生活は大変。室内で暮らす飼い猫の平均寿命は15歳以上といわれていますが、野良猫は交通事故や感染症、野生動物などの天敵、厳しい天候などで、3~5歳だといわれています。
何とか人に慣れてもらえないかと、数か月、格闘。その間、様々なお近づき作戦はことごとく失敗。それでも、私は怒ってばかりの姿も愛らしいと感じていました。
避妊手術の直後、麻酔で眠る足湯さんに初めて触れてみると、思っていたよりもずっと柔らかい。結局、私はこの子が好きでたまらない、諦めたくないのだと気づき、リリースをやめたのでした。
その後も足湯さんの警戒心はなかなか溶けませんでしたが、しばらくして新しい保護猫のまめちゃんがやって来ると、変化が生まれました。足湯さんはまめちゃんのことはすんなりと受け入れ、人なつこく私にすり寄るまめちゃんの様子を見ていた数か月後。ごはんの時に自分から近寄ってくるようになり、1年後には私に抱っこされるまでになっていました。
足湯さんは実は推定年齢12歳以上と判明し、家族として迎え入れることにしました。その後、まるで子猫のようにどんどん甘えん坊になっていきました。人間が信用できなかった足湯さん。威嚇され、牙を向けられ、私は何度落ち込み泣いたかわかりません。でも、足湯さんに、想いは必ず伝わる、ということを教えてもらいました。
5年たった今、病気が増え片目は失明しています。周囲からすると、「怪我をしていた野良猫を迎えるなんて」と思われるかもしれませんが、そばで看病できることも何より幸せ、出会えて一番の幸せ者は間違いなく私。野良猫を見たら、どんな猫でも、誰かのかけがえのない存在になれる、ということを思い出してほしいです。
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