失敗したら「切腹」「お取り潰し」
数百年にわたって続いたサムライの社会では、失敗は、「切腹」で自身の命、「お取り潰し」で家の断絶という、あまりに大きなリスクがありました。だから、何よりも失敗しないことを最優先して、自分の立場や周囲からの評価を常に念頭に置き、慎重な判断や行動を取ることが当たり前だったのです。
サムライの中でも階級が分けられ、江戸時代には200以上の藩がある中で、尾張・紀伊・水戸の三藩は「御三家」と呼ばれる別格の地位にあったり、土佐藩の中では「上士」と「下士」に分けられて明確な上下関係が作られていたりして、家格などに応じた、分相応な立ち振る舞いが固定化されました。
このサムライに肯定的な文化で生まれ育つと、エンターテインメントやスポーツを楽しむ中で、無意識のうちに、分相応に生き、リスク回避を最優先して、自分や家族を守る姿勢が当たり前化しやすくなるでしょう。
失敗したとき、「これは切腹ものだね」「腹を切ってお詫びしなきゃね」などと上司に冗談交じりに言われる人や、スポーツ選手に対してSNSなどで簡単に言ってしまう人が多いのには、こうした背景があります。
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※1 DIAMOND Chain Store online「ビジネスは「一勝九敗」 ファーストリテイリングを世界的大企業に導いた“柳井哲学”」を参照。
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文/永井竜之介
写真/shutterstock