頭脳集団によるスマートな復活劇

欧州でも状況はほぼ同じだった。広告プランの導入と同時にユーザー数を伸ばしている。しかし、その後の伸びは北米よりも顕著だ。欧州の課金ユーザー数は2023年3Qに8300万人を超えた。北米よりも600万人多い。

Netfixの欧州課金ユーザー数の推移(※Quarterly Earningsより筆者作成)
Netfixの欧州課金ユーザー数の推移(※Quarterly Earningsより筆者作成)
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2023年3Qに数字を伸ばしたのは、アカウント共有を禁止した効果が大きいだろう。

Netflixは長年、アカウントを共有する世帯が多いことに頭を悩ませていた。規制を強化すればユーザーが離反する恐れがある。その上で緩さを見せて見逃していたのが現状だったが、世界中にアカウント共有している世帯は1億あると推計されていた。

Netflixが取り締まりを強化したタイミングは絶妙だった。スタンダードプランの半額以下となる広告プランを導入した直後。アカウントを共有していたユーザーは、格安プランであれば加入しようという機運が高まる。しかも、Netflixは2023年から料金は従来と同じで、高画質視聴ができるサービスの向上に努めていた。これまでの料金体系、サービス内容であればユーザーの離反を引き起こしかねなかったが、広告プランはその受け皿となったのだ。

Netflixの戦略は極めて合理的でスマートだ。

一見、課金ユーザー数の縮小が鮮明になって慌てて広告プランの導入に踏みきったように見えるが、実はアカウント共有問題と1つの線に繋がっていたのだ。Netflixは選りすぐりのエリートによる頭脳集団だと称されるが、今回の著しい業績回復にはその本領が見事に発揮されているといえるだろう。

取材・文/不破聡

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