優勝を狙う学校のエースほど、3区で勝負の理由

また、全国高校駅伝でも留学生をめぐる構図は変わりつつある。

各校のエースは「花の1区」と呼ばれる最初の区間に投入されるのが一般的だったが、最近は留学生区間である3区の8.1075㎞を走ることが多くなってきた。

2022年は吉岡大翔が区間2位(佐久長聖→順大)、工藤慎作(八千代松陰→早大)が区間5位と留学生と堂々たる勝負を繰り広げた。

遡れば、21年は世代ナンバーワンだった佐藤圭汰(洛南→駒大)が区間1位とは11秒差の区間4位と健闘を見せており、優勝を狙う学校のエースほど、3区で勝負しに来るようになった。大学生だけでなく、高校生レベルから日本人エリートのレベルアップが図られていることが分かる。

世界を目指す選手ならば(大学レベルでも1学年に1人か2人しかいないのが実情)、高校時代から身近にターゲットとなる留学生選手がいる方がいい。それは2008年に北京オリンピックに出場した竹澤健介が言っていた。

「山梨学院に『モグちゃん』がいたのが、僕にとってはありがたかったですね」

モグちゃんとはメクボ・モグスのことだ。

「高校時代からモグちゃんと競うことで、それが自然と世界と競うことになっていたんですよね。その意味では、良い環境を与えられていたんです」

竹澤のこの言葉は、私の報道観にも大きな影響を与えた。