為替変動による押し上げ効果が働いた
ユニ・チャームの売上に占める海外比率は、実に7割に達する。花王、ライオンは、ともに4割ほどだ。
ユニ・チャームは2023年1~9月において、売上高が175億円、営業利益は22億円の為替変動による押し上げ効果が働いている。この期間の営業利益は前年同期間比で10億円のプラスだった。為替の影響がいかに大きく作用しているかがわかる。
同社は1980年代に幼児教育事業や結婚情報サービス事業など手広いサービスを展開していたが、2000年代に組織再編を行って、生理用品や紙おむつ、ペット用品などへ事業の選択と集中を行った。
展開する事業の集中を進めた1990年代から2000年代前半にかけてはアジア圏に本格進出。中国やタイ、インドネシアなどの国々で現地調査を行い、その土地の気候や風土、文化に最適化した商品を開発した。ユニ・チャームの売上比率はアジア圏が日本国内を上回っている。ローカライズを徹底したことが、今の好業績を支えているのだ。
巧みな価格転嫁と販売数量のコントロール
価格改定効果も大きく奏功した。2023年1~9月は原材料高で130億円の営業利益下押し要因となったが、それを上回る194億円を値上げで跳ね返した。なお、昨年の同期間はコスト高が300億円近い減益要因となった。しかし、販売数量増でそれをカバーしていた。
商品ラインアップを絞り込んでいるユニ・チャームは、数量と価格を絶妙にコントロールしている印象を受ける。
同社は今年2月から価格改定を実施するとアナウンスしたが、年末から1月にかけて駆け込み需要があり、2月と3月は納品が停滞。4月以降は巡航速度に戻ったと説明している。そうした中で、国内の生理用品、紙おむつは増収増益となり、ペット用品も業績をけん引している。
ユニ・チャームでは、国内事業の利益率は、コスト高で2022年3月期に20%台から19%以下まで落ち込んだが、今期は再び20%に近い水準まで戻している。ただし、アジア圏は軟調だ。現状では、特に中国で苦戦をしていて、その原因としては在庫の増加が重荷になっていることがある。ここから、価格見直しによる反転攻勢に出られるかが注目される。