「カップルヌードル」が193円から214円に
日本に染みついた30年間の消費者のデフレマインドは「企業の値上げ」を「悪」としてきた。企業は値上げを我慢し、安い価格で提供するためにコスト増を企業側が飲み込んできたが、足元の物価高でいよいよ限界だ。
値上げは消費者からの評価は上がらず、企業にとってネガティブ要因になるだろう。一方で、投資家は全く違った観点で企業を評価することもある。
その代表的な事例が「日清食品」だ。
値上げラッシュが続く中、「カップヌードル」など即席麺を主力とする日清食品も値上げを行った。小麦やパーム油など即席麺に使う原料が高騰し、生産者物価は10%以上の高騰。原油関係の価格も跳ね上がり、穀物関連の価格も高騰しているので、値上げは避けられないわけだ。
同社は22年6月から3年ぶりに主力の「カップヌードル」など即席麺の値上げを決めた。販売する商品の7割近くの約180のカップ麵や即席袋麺の希望小売価格を5%から12%値上げし、「カップルヌードル」は193円から214円に、「ラ王」は230円から254円に値上げしているため、家計の財布にとっては厳しい状況だ。
値上げ発表から株価は約2000円上昇
日清食品の今期の業績見通しは、売上高が前期比4.4%増の5,950億円、営業利益は同3.5%増の482億円と増収増益の予想だ。値上げをしても消費者は離れないと見込み、売上を伸ばしながら利益の確保を目論んでいるのがうかがえる。
2022年2月3日、日清食品は6月からの値上げを発表。しかし、翌日には株価は急上昇した。値上げと同時に「自社株買い」の発表をしたことが株価上昇に働いた可能性もあるが、これまで「値上げ」の発表は消費者が離れることが予想され、株価がマイナスに変動するのが一般的だ。
しかし、日清食品の株価はその後も上がり続け、2月の7900円台から7月には9800円台まで、5ヶ月で約1900円も上昇。投資家はカップヌードルなどを値上げしても「日清食品は消費者が離れないブランド力を持つ企業」と評価しているようだ。