24時間営業の資本主義のはじまり
――世代論の中でも「若者論」は常に注目を集めます。
若者論というのは、あくまで抽象的な言い方ですよね。なんならネットミームと思っていいくらい曖昧な言葉。常に需要があるのは、消費論としての世代論でしょう。新しい世代は新しい消費をするという、マーケティングの話。近年だと、稲田豊史の『映画を早送りで観る人たち』が大きな話題になりましたが、あれも新しい消費論です。
――本書にも時代ごとにさまざまな消費の変化が記録されています。
そもそも1980年から2020年代までの40年間を振り返る作業というのは、事件にしても流行にしても商品にしても、意図的に抽出しなければ1冊にまとめるのは不可能です。そういう意味で、この本で取り上げた事象は、僕自身が興味をひかれたことだけを並べて、意図的に歴史を再構築しています。もはや忘れられているけど、個人的に覚えておいてほしいこと、教えたいことだけを書いている。
ペットボトルが普及する前、人々はどうやって飲みものを買っていたのか、ペットボトルの水やお茶が販売されたのはいつか、みたいな。そういった細かい出来事の積み重ねこそが時代を反映していて、今につながっているんだと思います。あまりに有名な事件やニュースについては、ほとんど概要にしか触れていないのも、そういう意図があったからです。
――個別のテーマでいうと、コンビニについて書かれた「24時間営業の資本主義」のパートもおもしろかったです。
コンビニは80年代半ばに定着して、90年代に店舗数が増えました、理由としては、その時代、都市部に独身者が増えたから。独身者は昼とか夜とか関係なく出歩きます。コンビニに限らず、レンタルビデオ、ファミレスなんかも独身者に向けたビジネスでした。これらは需要のルートが繋がっていて、深夜にレンタルビデオ屋へ行って、帰りにコンビニに寄る、という。