コロナ禍以降も利用者数を制限している理由

順風満帆に見えるが、コロナ禍では集客が落ち込み、厳しい状況も経験した。

しかし、質の高いサービスを提供するために「適正人数を見直すいい機会になった」と佐々木さんは言う。

「コロナ禍では、従前のキャパシティに対して6割程度の下足箱の使用に利用人数を留めていました。当時は3密対策でソーシャルディスタンスを保つ意味でも、館内のお客様の収容人数を抑える必要があったんです。ただ、実は今でも残り4割の靴箱はオープンにしていません。“サウナーの聖地”と呼んでいただくほどの施設になったからこそ、人が溢れかえってしまい、サウナ室の外に待機して並ぶのは、不快でしかないでしょう。

お客さまのニーズ自体も、以前のような銭湯に行って、お酒を飲んでゆっくり寛ぐスタイルから、日常生活の合間に1~2時間ふらっと訪れ、心身を“ととのえる”というスタイルに変わってきていると感じています」

草加健康センターでくつろぐ人々
草加健康センターでくつろぐ人々

サウナブームが活況で、コロナ禍を境に夕方以降の時間帯では、20代〜30代半ばの若年層の利用者が圧倒的に増えてきているという。他方で、平日の昼間は地元の常連やシニア層でにぎわう、昔ながらの健康ランドとしても機能しており、「うまく棲み分けができている」と佐々木さんは語る。

今後としては、「多くのお客さまが安全、安心にサウナを楽しめるような施設を作っていきたい」と目標を掲げる。

「サウナが単なるブームで終わってほしくない。サウナと何かを掛け合わせ、文化として昇華させていけば、サウナを好きになる人の裾野がさらに広がると期待を寄せています。その一方で、物には程度があるように、サウナに対する熱意が行き過ぎた方向に寄ってしまえば、大事なものを見失ってしまう恐れもあります。

優劣を競うのではなく、いろんなサウナの楽しみ方を共有し合う。もちろん、守ってるだけでは衰退するので、試行錯誤しながら前には出ますが、それでも出過ぎないように注意しながら、サウナ文化を盛り上げていきたいです」

ラッコの看板が目印の「草加健康センター」
ラッコの看板が目印の「草加健康センター」
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取材・文/古田島大介