「ティファニーなどのブランド品を勝手に家に送りつけてきた」
そもそも、「逆恨み」でここまで凄惨な犯行を遂行してしまうに遠藤被告とは、どんな人物なのか。事件当時、現場を徹底取材した記者に答えてくれた同級生はこう証言していた。
「遠藤は授業態度が真面目で、勉強熱心。学校を休むこともなくほぼ皆勤で、教員からの評価も高いが友達は少ない、いわゆる『陰キャ』でしたね。自分は席が近かったので筆記用具を借りたり、勉強を教えてもらったこともありました。貸してくれるのは決まって、サンリオのキャラクターのイラストが描かれたペンで、数学が得意でした。
生徒会選挙に立候補し、在学生の信任を得て、生徒会長に選ばれました。うちの学校は毎年、明るくて目立つタイプの“陽キャ”が生徒会に立候補するので、遠藤が出馬したのは意外でした」
この同級生によると、被害者の長女も同じ生徒会選挙に立候補し、役員に選ばれたという。
「遠藤は生徒会長に選ばれたものの“キャラ変”はしませんでした。友達同士で冗談や下ネタを言い合ったり悪ふざけする姿は見たことがないし、休み時間は常に一人でいて、ニンテンドースイッチをしていました。学校が終われば緑色のママチャリでそそくさと下校していく姿が印象的でした」
生徒会だけでなく、遠藤被告は部活でも、被害者の長女と同じ将棋クラブに所属していたという。長女は演劇部にも所属し、脚本も手がけるなど多才ぶりを発揮していた。演劇を通じて仲良くなったという女性はこう語っていた。
「井上さんは誰にでも優しくて人気があって、演劇仲間でも彼女を好きな人はいたけど、彼氏はいなかったと思います。彼女とは9月にLINEで話したのが最後で、会ったのは8月が最後。なにか悩んでいたとかいう話は聞いたことがないし、特に変わった様子もありませんでした」
しかし、この長女が「ストーカー」から意味不明のプレゼント攻撃に遭い、困惑していたことを別の友人は知っていた。彼女は当時、怒りで声をふるわせながら記者にこう語った。
「被害者の長女には彼氏もいなかったし、そもそも過去に遠藤くんと付き合ったことなどないはずです。ただ、事件の少し前から『ストーカーにあっている』と聞いたことがあります。『ティファニーなどのブランド品を勝手に家に送りつけてきて、LINEをブロックしても執着してくる人がいて困っている』と暗い表情をしていました。その人の名前を聞いても、相手を気遣って私には教えてくれませんでしたが、ひょっとしたらそれが遠藤くんだったのかもしれないです」
友人はさらにこう続けた。
「彼女は誰にでも明るく接する優等生で犯人から見れば苦労知らずの『陽キャ』だったのかもしれない。でも、もともと彼女はコミュニケーションをとるのがすごく苦手で、高校入学後に人一倍努力してそれを克服したんです。演劇部では、主要キャストを務めながら脚本も担当するなど、本当に頑張っていました」