裁判官は「裁判中におけるAの態度は誠実なものとはとうてい言い難い」

教育熱心だったことから周囲の評判も高かったAは、日々の活動も評価され、2017年ごろ、津市内の小学校の教頭に出世した。バンドや演劇活動にも力を入れ、まさに順風満帆だった生活が一変したのが、2019年の5月。自宅の寝室のタンスから、三重県教職員手帳にくわえ、不倫相手とのプリクラや、その行為の様子を撮影したSDカードをB子さんが見つけてしまったのだ。

バンド活動をするA(本人SNSより)
バンド活動をするA(本人SNSより)

「浮気が発覚して1カ月くらい経ったころに、B子さんから頼まれて私と知人がAから話を聞きました。そのときに『奥さんに非はなかったの?』と聞くと、本人は『はい、B子はなにも悪くありません』と答えました。でも、手帳に書いてある『C子』とか『D子』は誰なのか聞いても、『それは警察に止められてるんで…』の一点張り。その後AはB子さんに謝罪の手紙を送ったり実家に出向いたりしたようですが、許されることなく二人は離婚することになりました」(同)

怒りが収まらなかったB子さんはAに対し慰謝料を求める裁判を決意。不倫の全容を教育委員会に伝えると、Aは勤めていた小学校を休職し、その後は開き直るかのように反撃に出てきたという。

「私がB子さんと一緒に、不倫相手の女性たちの元へ訪ねると、Aは彼女たちへ『無視してください』『断ってもまた来るようだったら警察に連絡してください』と口止めのメールを送っていたようで、会おうとしてくれず、何度か警察まで呼ばれました。ですが最終的には女性たちは非を認めB子さんとも和解、これまでの不倫の証拠もB子さんに提出したようです」(同)

記者の直撃に対応するA(撮影/集英社オンライン)
記者の直撃に対応するA(撮影/集英社オンライン)
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3カ月休職の後、職場に復帰したAは、2020年度から2年間にわたり教育委員会に配属されたが、2022年度から再び津市内の小学校の教頭に復帰した。B子さんが起こした裁判が始まったのは、ちょうどこのころだったという。

「Aの陳述書を見て、呆れました。『手帳』から『プリクラ』、『SDカード』まで見つかっているというのに、『道徳等人間としての教育を通して、子どもたちを育成し成長をうながしてきた私が、不倫などするはずがない』と主張するんです。『手帳は自分の妄想で書いた箇所がずいぶんある。すべては妻の妄想であり不倫は絶対にない』とも主張している。不倫相手も認めているというのに…」(同)

2022年4月からはじまった裁判で、Aは「適応障害」の診断を理由に一度も出廷することはなかったという。結果、Aの主張は認められず、「本件は極めて悪質である」との判決とともに、B子さんへの人権を侵害した行為(元奥さんと不倫相手の容姿や内面、性行為などを比較し点数を付けていたこと)に対しても罰則を科し、裁判官は「裁判中におけるAの態度は誠実なものとはとうてい言い難い」と言及した。

裁判を終え、元妻は何を思うのか。#2(後半)では、B子さんの告白と共に教頭A本人にも直撃、津市教育委員会にも見解を聞いた。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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