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「4割以上」が事前にネタバレを踏む

コンテンツの供給過多は、とくにZ世代の間で「消化できる時間は有限だから、その時間を無駄にしてまで、消費したコンテンツから不快感やつまらないという感情を生みたくない」、ある意味で消費を失敗したくないという価値観を生むことになる。

コンテンツの消費を失敗したくない、時間を無駄にしたくないと思うからこそ、スーパーの試食のようにあらすじやハイライトだけを観て消費した気分になったり、ビュッフェのように好きな音楽のサビだけ、好きな動画のおいしい部分だけを消費するような仕方が好まれるのだ。

SHIBUYA109lab.「Z世代の映像コンテンツの楽しみ方に関する意識調査」によると、Z世代の9割がコスパを、8割以上がタイパを意識しているという(図1)。

「映画館はタイパが悪い」…Z世代の4割以上が視聴前にネタバレを踏む衝撃!「予期しない感情の起伏を得ることがストレス」_1
図1 Z世代の映像コンテンツの楽しみ方に関する意識調査。『タイパの経済学』より
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なかでもタイパに関して、「Z世代の映像コンテンツ視聴姿勢」の項目を見ると、サブスクの映像コンテンツを観る際に81.3%が「ながら見」、51.5%が「スキップ」、48.6%が「倍速」、44.3%が「ネタバレ」をしているという(図2)。

ざっくり言えば半数以上が効率よく(タイパを意識して)コンテンツを消費しているわけだ。

「映画館はタイパが悪い」…Z世代の4割以上が視聴前にネタバレを踏む衝撃!「予期しない感情の起伏を得ることがストレス」_2
図2 Z世代の映像コンテンツ視聴姿勢。『タイパの経済学』より

何度も記しているが、使えるお金に限度があるが情報量は増え、興味をそそるモノも多いが、その一方でSNSには再現可能な投稿が溢れていて、自分がわざわざそれを消費する必要があるかを考える、という消費行動が若者の間で定着している。

また、自分が興味がないモノは賢く消費し、自分が興味ある趣味や事柄をメインに消費したいという志向も擁している。あわせて、ネットの流行は早く移り変わり、自分が消費するときにはそのブームがすでに下火というのもよくあることだ。

このようなことを考慮に入れると、ネタバレを踏んでおくことは、消費を失敗しないためのリスクヘッジになるわけだ。また、消費するコンテンツが多いからこそ、その都度感情が揺さぶられること自体がストレスになる若者も多く、事前に結末や道筋を知っておきたいと考える者もいる。