「鮭と牛乳」でアミノ酸をとろう!
なぜ、私たちは毎日、お腹が減って、食事をするのでしょうか?
健康な人にとって空腹は大きなストレスで、落ち着かず物事が手につかなくなったり、不機嫌になったり……。できるだけ早く解決したいと駆り立てられて、食べ物のことばかり考えるような状態になってしまいます。
それが食事を済ませ、お腹が満たされると一変。心も満たされたように感じます。あまりにも日常的すぎて深く考える機会の少ない食事ですが、じつは心と体の健康に大きな影響を与えているんです。
実際に、食欲がなくなり、思うように食べられなくなってしまうと、その人は一気に健康な生活を送れなくなってしまいますよね。
人間の細胞の寿命は短いもので2、3日。爪が伸びたら切るように、古くなった細胞は体の外に排出され、代わりに新しい細胞が生まれてきます。
1日24時間休むことなく働いている心臓も、細胞レベルで見れば少しずつ入れ替わっています。
こうした細胞の新旧交代の仕組みを支えているのが、タンパク質。家庭科の時間に習った3大栄養素、糖質、タンパク質、脂質のうち、もっとも重要なのがタンパク質なんです。
というのも、人間の体の約20%はタンパク質(体重60kgの人なら12kg)で占められているから。このタンパク質のうち、体重60kgの人なら1日60gが新しい細胞をつくるために使われています。
つまり、私たちは細胞を元気に保っため、毎日の食事でせっせとタンパク質を補給しているわけですね。これが不足してくると、体力、筋力、免疫力が落ちてきて、血管も弱くなってしまうんです。
これは裏を返せば、食事の質を上げれば心身ともに元気になり、血管も強くなって血流もよくなること。
そのために心がけたいのが、アミノ酸バランスのとれた食事です。
ごはん、みそ汁、おかず1品の「一汁三菜」がおすすめ!
少し専門的な話になりますが、タンパク質は20種類のアミノ酸がつながってできています。
そのうち9種類は自分の体の中で十分な量を作れず、私たちは食べ物からとるしかありません。
この9種類(バリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジン)は「必須アミノ酸」と呼ばれ、食習慣を考えるうえで特に重要な栄養素です。
たとえば、タンパク質の多いものを食べるなら、この必須アミノ酸が含まれた食材をとるのが効率的。
というのも、タンパク質の多いメニューは必然的にカロリーも高くなってしまうので、食べすぎると肥満の原因となってしまうからです。
太った体は血流にとつてマイナスとなる点が多く、食習慣としては必須アミノ酸をとりながら、カロリーは抑えるというのが健康的な食べ方の基本なんです。
じつは長い間、積み重ねられてきた食習慣には、この基本が自然と織り込まれています。西洋のパンと肉、中東の小麦と豆、中南米のトウモロコシと肉などなど。各地域の主食と主菜の組み合わせは、炭水化物とタンパク質、必須アミノ酸がうまく含まれる組み合わせになっているんです。まさに人類の知恵ですね。
では、日本ではどうかというと、昔ながらの和食を食べていればバッチリです。ごはんとみそ汁におかずを1品。米だけでは足りないタンパク質をみそ(大豆)が補い、しかも、必須アミノ酸も豊富に合まれています。
おかず選びには、「これさえ食べていれば必須アミノ酸量が十分にとれますよ」という食材の指標となっているアミノ酸スコアという数字を参考にしましょう。これが満点の100なのは、鮭と牛乳。これなら朝食にも気軽に取り入れられますよね。
そら豆などの豆類も必須アミノ酸が豊富です。主菜にうまく盛り込んでいきましょう。