新聞に目を通すことを小中学校通じて一日も欠かさず
さらに、昼食でのこんなエピソードも。
「すき家の牛丼やカレー、王将の餃子セットなど、私が何種類か用意して、それを早いもの順で生徒が選ぶんです。
値段を見て高いものを食べようとする子もいるなかで、彼は値段を気にせず、すき家のカレーを好んで食べていました。
『小学生にはちょっと辛いのでやめときな』と言っても、『辛いの大丈夫!』って聞かずに食べて、よく腹痛になっていました。それでもまたカレーを食べるんです(笑)」
と当時を笑いながら振り返る竹内氏。腹痛になったときはおばあちゃんが迎えにくるそうだが、「連れて帰られたら将棋ができないので、やせ我慢でしょうが『治った!』と言い張り、居残って将棋を続けていました」と意地っ張りな面も見せていたそうだ。
幼少時から将棋漬けの生活を送ってきた藤井八冠だが、小中学校を通じて欠かさず続けたことがある。プロ棋士で、『将棋世界』の編集長も務めた田丸昇九段が次のように話す。
「学校から帰ったら、まず新聞を読んでいたそうです。特派員報告というコーナーが好きで、世界情勢に興味があったようです。
また、小学校高学年のときに面白かった本として挙げたのが、百田尚樹の『海賊とよばれた男』と、沢木耕太郎の『深夜特急』シリーズです」
藤井八冠のボキャブラリーが豊富なことはよく報じられているが、さまざまなジャンルの本を読んだことが大きいのだろう。有名な「僥倖としか言いようがない」というフレーズも将棋の雑誌を読んでいたからこそ、自然に発せられたのだ。