里見女流が見る藤井聡太
――現在、将棋ブームのまっただなかです。
里見香奈(以下、里見) やりにくさとか、マイナスなことはありません。子どものころは話題にされるのは嫌でしたが、今思えばぜいたくなことだし、今は注目していただけるとすごく嬉しいです。メディアを通して、将棋を知らない方々が、日常的に目にする時間がもっと長くなればいいなと思っています。
それに、最近だとスポーツ雑誌の『(Sports Graphic)Number』が将棋の特集をしてましたよね。あれは将棋界的にも一番びっくりしたできごとでした。
藤沢里菜(以下、藤沢) 囲碁や将棋は“マインドスポーツ”と呼ばれ、最近はスポーツのひとつとして見られていますしね。
里見 そうですね。将棋は肉体的に動くことはありませんが、脳の疲労が本当にすごい。対局が終わると1、2キロくらい体重が落ちてますし。
藤沢 私はあまり体重が落ちるタイプではないですが、それでも1キロくらいは減りますね。ただ対局中はきついと感じる暇がなくて無我夢中って感じです。
――ブームの火付け役である藤井聡太六冠について里見女流はどう思いますか?
里見 彼はプロになってからも伸びしろがものすごい。今はAIの強さがどんどん更新されていって人間ではかなわないってレベルになっているのですが、AIが見落としているものまで見つけて現状を覆せる可能性も感じさせてくれます。もうすぐ八冠とも言われていますし、今後どこまで強くなるのか楽しみです。
藤沢 いつか戦ってみたいと思いますか?
里見 現実的には不可能に近いですけど、棋士なら誰でも指してみたいと思ってますよ。