「僕も頑張るので、中川にも頑張ってほしい」

NPB入りの思いに区切りをつけた前野は今、新たな目標に向かって歩み出している。

「まずは11月の日本選手権で、都市対抗決勝で敗れたトヨタ自動車を倒して日本一になること。それだけを目指しています。“打倒トヨタ”は社会人野球の全チームが意識していることですが、自分たちがそれを成し遂げたい。今は、それだけです」

取材の最後に、「もし、ヤマハとオリックスが日本一になれば、PL学園出身の選手が社会人野球とプロ野球、両方で頂点に立つことになりますね」と告げると、前野は声のトーンを少し上げて、こう答えてくれた。

「それ、いいですね! 僕も頑張るので、中川にも頑張ってほしいです。PL出身者がふたりとも日本一になれたら、最高です」

PL学園野球部59期生の前野幹博と、60期生の中川圭太――。舞台こそ違うが、ふたりの野球選手は今秋、ともに“日本一”をかけた戦いに挑む。

残りふたりとなったPL学園出身の現役プロ野球選手…日本シリーズに挑む中川圭太に社会人野球で奮闘する“最後のPL戦士”からエール_3

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取材・文/花田雪