副反応疑い事例全てについて病理解剖するのは遺族感情等も考慮すると不可能ではないか
おそらくアナフィラキシーショックだったのだと思いますが、「残念ながら病理解剖がされていないこともあり、最終的な病態の解明には至らなかった」とされている点に注目です。
この極端な事例ですら、解剖していないので病態の解明に至らなかったというのです。しかし、接種後わずか24分で心肺停止ですから、さすがにこれは因果関係を否定できないという結論にせざるを得なかったのでしょう。
副反応疑い事例全てについて病理解剖するのは遺族感情等も考慮すると不可能ではないかと思います。現にされていません。したがって、ほぼ全部「情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できない」γ評価にせざるを得ないでしょう。この傾向は今後も変わらないと思います。
では、ワクチン副反応を知るもう一つのルート「②ワクチンによる健康被害を受けた人又はその遺族からの予防接種法に基づく救済給付の申請」についてはどうでしょうか。
2023年3月17 日の審議結果を見てみると、累積でこれまでの合計受理件数6719件、認定件数1829件、否認件数219件、保留件数32件となっています。受理件数に対する認定件数の割合を出してみると、約27%です。
なお、この認定件数は死亡事案以外も含めた総件数です。死亡事案だけの件数はこの審議結果には載っていません。NHKの報道によると、同年2月10日時点での認定された死亡件数は30件とのことです。
各国において予防接種による有益性はリスクを上回ると評価されている
①のルートとは全く違う結果ですが、これは、予防接種健康被害救済制度の審査が、個々の事例毎に「厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の病状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象」との考え方に基づきなされているからです。
また、審査する主体も違います(感染症.予防接種審査分科会新型コロナウイルス感染症予防接種健康被害審査第一部会及び第二部会が担当)。
救済を優先させ、因果関係の認定を緩めると、このような結果になります。非常にざっくりした計算をすると、総接種回数約3.7億回に対し、認定件数が約2000件ですから、接種回数に対する認定割合は0.00054%です。飛行機事故に遭う確率よりも低いですが、人によってこの数字の捉え方は異なるでしょう。
認定例を見てみると、心筋炎.心膜炎等の心血管系の副反応が多いように見えます。これは、本物のコロナの方でもよく現れる症状です。
「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き」には、コロナの合併症として、「急性期の不整脈、急性心障害、ショック、心停止の他、症状回復後の心筋炎などが報告されている。また、COVID–19の発症から1カ月以上経過しても脳血管障害、不整脈、虚血および非虚血性心疾患、心膜炎、心筋炎、心不全などのリスクがあがることが報告されている」との記載があります。
さらに、その記載の下に「参考」として「若年者の男性を中心に、mRNAワクチン接種後にも心筋炎.心膜炎を疑う報告を稀に認める(心筋炎および心膜炎を副反応疑い報告基準に定めた2021年12月6日から2022年11月13日までの国内疑い報告のうち心筋炎または心膜炎と評価された件数は237件)。
長期的な予後は調査中だが、自然感染と比較して、頻度は低く予後も良好であることなどから、各国において予防接種による有益性はリスクを上回ると評価されている」と書かれています。