東海道新幹線の運休時、現実的な迂回ルート

「東海道新幹線で雪の影響を受けやすいのは、岐阜県と滋賀県の県境の地域で、区間で言うと岐阜羽島駅と米原駅の関ヶ原エリアです。積雪の影響で40分程度列車が遅れるケースも多く、それが年末年始の帰省ラッシュに当たってしまったこともありました。スプリンクラーを作動させて雪の影響を減らす対策を取っていますが、雪の降り方によっては速度を落として運転することもあります。

ちなみに上越新幹線や北陸新幹線のように豪雪地帯を走る路線には、東海道新幹線のものと比べてはるかに強力なスプリンクラーが備わっており、だいたい降水量に換算すると1時間60mmに相当するぐらいの水を撒いているので、けっこうな雪でも運休することは少ないのです。

では、東海道新幹線でも設置すればいいと思われるかもしれませんが、もともと強力なスプリンクラーに耐えられるようなコンクリートの線路になっている上越新幹線や北陸新幹線とは、基礎構造から異なっている東海道新幹線では導入は難しいのです」

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では、東海道新幹線の遅延・運休に巻き込まれてしまった場合の、大阪・東京間の迂回ルートについてうかがおう。

「在来線の東海道線を乗り継ぐルートもありますが、東海道新幹線と同じように自然災害に見舞われると在来線のほうも運休する可能性が高いので、基本的には大きく北に迂回するルートになるでしょう。

新大阪駅から特急「サンダーバード」で金沢駅まで向かい、金沢駅から北陸新幹線に乗り継いで東京駅へ向かう経路が一番現実的ではないでしょうか。東海道新幹線なら大阪・東京間は2時間半程度で行けるのに比べ、この迂回ルートはトータルで6時間程度かかってしまいますが、なんとしても東京に帰りたいといったときには有効な手段だと思います。

また、建設中のリニア中央新幹線ができれば、東海道新幹線の代替ルートとして非常に有効に機能するはずですので、リニアが開通すれば今回のような混乱も大幅に緩和されるのではないでしょうか」

来年で開業60年を迎える東海道新幹線。大雨や大雪などの自然災害に対する弱点が問題視されているが、 梅原氏によると「脱線や衝突を原因とする乗客の死亡事故は1件も起きていない」のだという。もし運休などの混乱に巻き込まれても、冷静に迂回ルートなどを検討していただきたい。

取材・文/逢ヶ瀬十吾(A4studio) 写真/shutterstock