自販機から生まれる「コミュニケーション」

社長のおごり自販機は、社員2人が同時に社員証をかざすと「社長のおごりモード」が起動し、10秒以内にそれぞれ1本ずつ飲み物を選ぶという仕組みになっている。

社員証をかざすタイミングを合わせる「ひと呼吸」や、あらかじめ飲み物を決めておく「会話のやりとり」が行われ、いわば自然と社員同士のコミュニケーションが発生する。
“挨拶以上食事未満”という、仕事の合間にちょっとした雑談ができる。今まで話したことがなかった社員と交流を持つ機会になるとして、企業で導入され始めていると、プロジェクトを担当した松本さんはいう。

実際に「おごり自販機」を使って購入する様子(写真右が松本さん)
実際に「おごり自販機」を使って購入する様子(写真右が松本さん)
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「会社の成長につれて、働く仲間が増え、職場のコミュニケーション不足に課題を感じる企業も少なくありません。特にコロナ禍でテレワークが浸透し、『Face to Face』の関わり合いが以前に比べて減っている状況といえます。

こうしたなか、おごり自販機の特徴となる『社員2人1組がお互いに息を合わせる共同作業』は、社員同士がふれ合い、交流を図れるひとつのコミュニケーションツールとなっています。『誰かを誘って自販機に行く』というのが常態化すると、他の場面でも自分から積極的に誘うようになっていくんです」

サントリーのオフィスでは「毎日行列ができる」

2021年10月から全国展開を始め、これまでに200社以上の企業が、このおごり自販機を導入しているという。

企業ごとにネーミングもカスタマイズ可能で、「工場長のおごり」や「部長のおごり」、「院長のおごり」など、色々なおごり自販機が生まれているそうだ。福利厚生の充実、社員間のコミュニケーション活性化など、それぞれ企業によって導入の目的があるわけだが、実際はどのような活用がされているのだろうか。

職場に合わせたネーミングが付けられる
職場に合わせたネーミングが付けられる

サービス運営元のサントリーでは「15時~16時」に利用を限定しているという。

限られた時間しかないゆえ、そこまで使われていないと思いきや、「毎日行列ができている」と松本さんは語る。

サントリーの社内では15時になると長蛇の列ができる
サントリーの社内では15時になると長蛇の列ができる

「弊社の場合、6階の執務エリアにおごり自販機を設置しているんですが、毎回その時間をめがけて、各フロアから続々と社員が集まります。並んでいる待ち時間にも雑談が生まれたり、前後の人同士で話したりと、仕事以外のコミュニケーションの『場』として機能しています」