駅前が一等地という定説は崩壊する?
東京都内に限らず、首都圏の新築マンションの平均価格が1億円を超える(平均では6000万〜7000万円)など、賑わいを見せています。
ただし、高値がついている物件にはいくつか特徴があります。昔から定説のように言われてきた駅前の一等地、駅チカ物件であることです。
なぜ、ここまで駅チカの物件に人気が集まっているのでしょうか?
現時点では、鉄道が最も安い移動手段だからです。コロナ禍によりリモートワークなどが浸透したかに見えましたが、特に日本においては物理的に会社に行く、という行為が未だに評価される傾向が強いため、交通の便が付加価値となります。
しかしこのような定説も、この先の未来では変わる可能性があると私は見ています。
今の話の裏返しになりますが、駅を使うことを前提とした鉄道が、最適な移動手段ではなくなる未来です。
筆頭として挙げられるのは、ロボタクシーでしょう。ロボタクシーが浸透し、既存のタクシーはもちろん、各種鉄道より安価に利用できるようになれば、駅まで歩いていくことはなく、自宅前にタクシーを呼び、オフィスまでドア・ツー・ドアで移動できるからです。
出勤に限りません。学校、買い物、バカンスなど、あらゆるシーンでの浸透が進むと考えられます。その結果、ターミナルの基点とされていた駅は、これまでよりも使われなくなり、周辺の不動産価格が下落。そのような未来もあり得るかもしれません。
AV(autonomous vehicle:自律走行車)、特にSAV(Smart Access Vehicle:乗合型自立運転車)が普及していくと、これまで地価や家賃の安かった、いわゆる交通の便の悪い郊外の土地や、物件の価格が上昇する可能性が高くなります。
つまり自動運転技術の発展は、都市設計や不動産価格にも影響を与える可能性が高いと主張されているのです。
ロボタクシー以外でも、このような未来の実現を予測させる動きはいくつもあります。
先述したスペースXの超高速飛行機も、そのひとつと言えるでしょう。