“ドリル優子”を大臣ではなく選対委員長に起用した理由

そして、早くも岸田政権でリスクとして取り上げられているのが小渕優子選対委員長だ。
小渕氏は故・小渕恵三元首相の次女で、2000年に26歳の若さで初当選。2008年に当選3回にして少子化対策・男女共同参画担当大臣に抜擢され、2014年には経産大臣に就任するという輝かしい経歴を持つが、それを上回る“ドリル優子”という汚名も持ち合わせている。

小渕氏は経産大臣就任直後、「週刊新潮」によって、政治資金収支報告書に多額の虚偽記載がされている疑惑が報じられ、2ヶ月ももたずに辞任に追い込まれた。
その後、東京地検特捜部が小渕氏の後援会事務所などに家宅捜索に入ったところ、会計書類を保存したパソコンのハードディスクがドリルで破壊されている痕跡を発見。
あまりに大胆な証拠隠滅は世間を驚かせ、それから9年経った今でも話題として持ち上がっている。

関係者によると、実は小渕氏は今回の内閣改造で、当初はこども政策担当大臣への起用を要望していたという。しかし、大臣は週2回の定例記者会見があり、そこで「ドリル事件」について質問されるのは必至。
そのため、記者会見の場が少ない選対委員長への起用が持ち上がったようだ。

選対委員長に起用された小渕優子衆議院議員(共同通信社)
選対委員長に起用された小渕優子衆議院議員(共同通信社)
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自民党は今年、10年後に女性の国会議員を3割にする目標を掲げ、衆院選に立候補する新人女性には一律100万円を支給することも決定した。
小渕氏は女性の選対委員長として、女性の積極擁立にも関わってくることになるだろう。しかし、「ドリル事件」が再燃することになれば、小渕氏のもとで立候補する候補者全体の信用問題になりかねない。

実際に13日には、党四役の就任記者会見で「ドリル事件」について問われ、小渕氏は「ご迷惑をおかけしたみなさまに心からお詫びを申し上げたい」と頭を下げ、「心に反省を持ち、決して忘れることない傷として歩みを進めたい」と涙をにじませながら語った。

しかし、「政治とカネ」の問題は簡単には拭えそうにない。
同日、「週刊文春」は「ドリル事件」で有罪判決を受けた元秘書が取締役を務めている不動産会社に、小渕氏の政治団体が多額の支出を続けていた疑惑も報道。さらなる説明責任が求められることになりそうだ。

岸田氏自身の「党内基盤安定」と「刷新感」、そのふたつを両にらみした内閣改造となったが、二兎追うものは一兎も得ず。首相の思惑通りに物事が進むとは限らない。
サプライズ人事が吉と出るか、凶と出るか。新しい体制のもとで、岸田首相の手腕が問われることになる。

取材・文/宮原健太
集英社オンライン編集部ニュース班