「人が機械に合わせる」時代から「機械が人に合わせる」時代に
このクルマにしても(前述の)パソコンにしても、以前ならユーザーがこれら機械の操作方法を、ある程度の時間をかけて習得する必要がありました。
たとえば、これまで自動車を運転するには、自動車教習所に通って教官の指導の下でアクセル、ブレーキ、ステアリング(ハンドル)などの基本的操作から、「縦列駐車」や「坂道発進」など高度な運転技術までマスターしなければなりませんでした。
あるいは1980年代のパソコン黎明期には、特に中高年層のビジネスパーソンらは、かなり苦労しながら、キーボードやマウスの使い方、基本ソフトやアプリケーション・ソフト(アプリ)などの概念や操作方法を学んでいきました。
また今でも、表計算ソフトをはじめ各種アプリやインターネットの操作方法などを学ぶパソコン教室は数多くあります。
これらの状況は言わば、「私達人間が自動車やパソコンという扱い難い機械に自分たちを合わせていた」と見ることができます。
しかし今後、マイクロソフトの「コパイロット」やメルセデス・ベンツグループによる対話型AI、さらに自動運転技術などが実用化されていけば、ユーザーは以前のようにパソコン教室や自動車教習所などに通って、それら複雑な機械の操作方法を学ぶ必要はなくなります。
何故なら、これらAIを搭載した機械の方が私達人間に合わせて半ば自力で働いてくれるようになるからです。私達はこれらの機械に「あれしろ、これしろ」と命令するだけです。
つまり、これまでの「人が機械に合わせる時代」から、これからは「機械が人に合わせる時代」へと社会が移り変わっていくのです。