裏メニューから商品化したメニュー
「こってりラーメン」の熱狂的な人気から、そのスープを使った派生メニューがたびたび発売されていることも面白い。
歴史を紐解くと、これまでにも「超こってり」「コップdeこってり」「スープライスセット」「全力!脱力こってりチーズパンラーメン」などが一部店舗で発売されてきた(※「超こってり」は発売終了)。
また、今年1月に発売された「こってり天津飯」には驚いた。天津飯の餡の代わりに自慢のこってりスープを回しかけた、今まであるようでなかった斬新な一品。これも実は利用客からの要望で裏メニューとして提供したことがきっかけだった。
さすがに人気の「こってり」のスープは天津飯にもよく合っていて美味しい。ラーメン以外で味わうことで、改めてスープの魅力を感じることができる。単品で570円(税込 ※価格は店舗によって異なる)という破格の安さで提供しているのもポイントだ。
そして 極めつけは6月に発売された「こってりMAX」だ。真っ赤などんぶりに真っ赤なレンゲ、そして名前は「こってりMAX」。もう食べざるを得ない興奮に包まれる。価格は大台を軽々超えた1210円(並・税込 ※価格は店舗によって異なる)。
しかし、「天下一品」の究極のこってりと言われては食べないわけにはいかない一杯だ。スープにレンゲが立つレベルの濃厚さから、ネット記事やYouTubeなどでも話題で、バズる動画の一つのネタになっている。
こういった絵力の強い商品は、見た目だけで内容が伴っていないという場合も少なくない。しかし、「天下一品」はこうした話題が先行しがちなメニューもしっかり美味しい。大量の鶏がらと野菜をじっくり煮込んで作ったオンリーワンのこってりスープは、濃度をMAXにしてもやはり美味しい。
「『こってりシリーズ』は、お客さまのアレンジレシピや食べ方から商品化するといった流れもあります。『こってり鍋スープ』もお客様の要望から商品化に至りました。これからもお客さまの自由な食べ方、ご要望やアイデアとともに成長させていただいています」(広報担当)
「天下一品」のこってりラーメンは創業者である木村勉会長が試行錯誤して作った、いわば発明品だ。発売当初は好き嫌いがハッキリ分かれたラーメンを、今日までブレずに続けてきたこともすごい。圧倒的な商品力の勝利である。
取材・文/井手隊長